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老舗料亭が本気で作ったみそ食パン! 熊本県 くまもと料亭 田吾作の「田楽」を実食!
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老舗料亭が本気で作ったみそ食パン! 熊本県 くまもと料亭 田吾作の「田楽」を実食!

辻 美穂
辻 美穂

最近、「老舗料亭」のパンが、パン好きさんの間で注目されています。ジャンルは違えど、長年培ってきた伝統や技術を生かして作られるパンは、絶対においしいはず。
そこで今回は、熊本県熊本市に店を構える「くまもと料亭 田吾作」の「田楽」をお取り寄せ。そのままはもちろん、お店おすすめの食べ方でいただいてみました。

創業100年以上の老舗料亭「くまもと料亭 田吾作」

「くまもと料亭 田吾作」は明治28年創業。約一千坪もの敷地内にある日本庭園を眺めながら、郷土素材をふんだんに使用した、京懐石ベースの懐石料理が味わえる老舗料亭です。

今回、取り寄せた「田楽」は、創業時から100年以上受け継がれている、秘伝の「田楽みそ」を使用しています。「田楽みそ」は、みそに砂糖や卵などを煉り合わせ、じっくりと煮詰めて作った、職人の手作業が生きた「田吾作」ならではの逸品です。

田吾作 田楽

秘伝の「田楽みそ」も販売中。みそ食パン「田楽」には、赤みそ25%、白みそ30%の割合で、生地にブレンドしているそう。

さて、筆者はまだ経験したことがない“田楽みそ×パン”という組み合わせは、どんな味わいなのでしょうか。パンの到着を待ちます。

パンが到着!箱を開けると……

段ボールを開けると、さわやかながら落ち着きある、青と白が織りなすデザインの不織布で包まれた箱が出てきます。贈り物にもよさそうな見た目です。

田吾作 田楽 

ワクワクしながら箱を開けると、上品な質感の不織布の風呂敷包みが出てきました。

そして結び目をほどくと……、シンプルながらスタイリッシュな箱の中に「田楽」が入っています。

田吾作 田楽

しっかりした素材の箱には、ロゴ入りの帯。より高級感を感じます。

冷凍状態で届く「田楽」は、3~4時間ほど自然解凍すれば食べごろに。解凍後は3日ほど、冷凍のままなら2週間ほどおいしさを保てるそうです。

田吾作 田園

“どんなパンだろう”とワクワクしながら解凍し、いよいよ実食です!

ブレッドナイフがスーッと入る!なめらかな生地に驚き

食欲そそる、みその香りを感じながら、こんがり美しいきつね色のクラストに、ブレッドナイフを入れてみると……。

田吾作 田楽

袋を開けたとたん、甘く香ばしいみその香りが広がります。

ナイフがスーッと、クラスト(耳)からクラム(中の生地)へスムーズに入っていきます。不器用な筆者でも表面がボロボロにならず、美しくスライスすることができました。なんてなめらかな生地なんでしょうか。

田吾作 田楽

「田楽みそ」がマーブル状に巻き込まれています。

早速味わってみると、ほどよい甘みとコク、香ばしさがあり、やさしい味わいの「田楽みそ」がアクセントに感じられます。クラムがしっとり口どけがよいのはもちろん、さっくり香ばしいクラスト部分も、噛みしめると口の中へスーッと溶けていくような感じです。

そして、白い生地部分も、一般的な食パンとは違う甘みやうまみを感じます。どうやら、マーブル状に巻き込んだ「赤みそ」以外にも、生地自体に「白みそ」を練り込んでいるそう。「田吾作」伝統の「田楽みそ」をダブル使いしているパンなんですね。

みそ食パン「田楽」はどのようにして誕生したのでしょう?開発秘話を伺いました

秘伝の「田楽みそ」をパンに練り込むというのは、なかなか斬新なアイデアではと思いました。この「田楽」はどのようにして生まれたのか、株式会社田吾作の専務・北山春彦さんに開発秘話を聞いてみました。

田吾作 田楽

子どもの頃から、朝食は必ずパンだという北山さん。

──「田楽」が誕生した経緯を教えてください。

当店をもっと幅広い方々に利用していただくためには……と考えた時、ふと浮かんだのが、創業当初からの代表的な味である「田楽みそ」を使った食パンを作ることでした。まずは料亭伝統の味を気軽に食べていただき、当店の料理に興味を持っていただければと思い開発しました。

当初は周囲も乗り気ではなかったのですが、パン屋さんに依頼して最初に作ってもらったロールパンを地元百貨店のパンイベントで販売すると、お客様のみならず百貨店の上層部にも好評を得たことで、本格的な販売に向けて開発をスタートしました。その頃、ロールパンから、現在のマーブル状の食パンとして開発を始めました。

その後、縁あって知り合った「熊本製粉」のパンマイスター・長谷川信次さんが「田楽」をプロデュースしてくださることになり、オンライン販売へと至りました。長谷川さんは、全国のパン屋さんに経営やレシピ開発のアドバイスをしている方。“「田楽みそ」をマーブル状に練り込んだのは面白い”と言ってくださったんです。

──食材・製法の特徴やこだわりを教えてください。

やはり、創業当時から手づくりしている、2種類の「田楽みそ」を使用していることです。ほかには無い、当店ならではの味を、存分に楽しんでいただけると思います。また、パンとしてのクオリティにもこだわりたいと、熊本県玉名産の小麦粉「ミナミノカオリ」を使用しています。しっとりふわふわなパンに仕上がりました。

みそを使用しているぶん、パンが膨らみにくいので、今の大きさが限界です。その分、クラストは香ばしく、カリッと仕上がりました。“料亭が本気で作ったパン”「田楽」を多くの方に食べていただきたいですね。

おすすめの方法で「田楽」をさらに楽しむ

そのまま食べても十分においしい「田楽」ですが、北山さんにさらなる楽しみ方を教えていただいたので、試してみました。

①トーストで

まずは、いちばんおすすめだというトーストで食べてみました。かなりしっかり焼くほうがいいそうです。

田吾作 田楽

焼きすぎのように見えるくらい、しっかり焼きました。

クラストはよりサクッと、クラムはふ~んわり。ちょっと顔をうずめてみたくなるような、心地よいふかふかっとした感じになります。そして、田楽みその香ばしさがより広がるのはもちろんですが、甘みやコクも際立つようです。だからでしょうか、白い生地部分に“白みそが練り込まれている”ということを、より明確に感じることができます。

続いてのおすすめ、「チーズ&はちみつトースト」や「マーマレードをのせて食べる」のも試してみました。

田吾作 田楽

さわやかでほろ苦な「パール柑」のマーマレード(左)。はちみつの甘みやチーズのミルキーさが田楽みそとよく合う「チーズ&はちみつトースト」(右)。どちらもおいしかったです♪

②揚げ焼きで

オリーブオイルで「揚げ焼き」もおいしいと聞き、試してみました。はたして、オリーブオイルの風味と、「田楽」は合うのでしょうか?

田吾作 田楽

フライパンの鍋底から深さ1~2㎝のオリーブオイルを入れて熱し、「田楽」を両面こんがりと仕上げます。

アツアツを味わってみると、表面がカリッと軽やかで、中はとけるような食感に。また、田楽みその甘みやコクがさらに際立つようで、口の中に風味がさらに広がります。オリーブオイル独特のさわやかさやほろ苦さともよく合いますし、コクは出てもあと口がすっきり。クセになりそうな味わいです。

③ホームページのアレンジメニュー

「田吾作」のオンラインショップでは、さまざまなアレンジメニューを紹介しています。そちらも参考にしてみました。

田吾作 田楽

卵ときゅうりのサンドイッチや、「さばとマスカルポーネのディップ」なども筆者的におすすめです!

「田楽」を実際に食べてみて、筆者は“新たなジャンルの食パン”を感じました。単なる和洋折衷のパンではなく、それを越えた食感や味わいが楽しめるのです。“いつもと違うパンを食べてみたい”という方にぜひおすすめです。

また、珍しい「田楽みそ」の食パンは、パン好きの方に贈れば、きっと喜んでくれるはず。包装も素敵なので、ギフトに利用するのもおすすめです。オンラインショップで購入が可能です。

熊本を訪れる機会があれば、このパンを生み出した「くまもと料亭 田吾作」へぜひ。鶴屋百貨店内の支店ではお弁当、本店では懐石料理コースが楽しめるので、伝統ある料亭の味を楽しんでみませんか。

※2022年6月からは、土日限定、各日10個限りで、「田吾作鶴屋店」にて「田楽」の販売もスタート。お近くの方は、こちらも利用してみてください。

■くまもと料亭 田吾作

WRITER

辻 美穂

辻 美穂

とにかく食べること、飲むことが好きで、異業種から食の業界へ転職をとフードコーディネーターの学校へ。複数の調理現場でバイトしたあと、菓子とパンの会社で商品企画の仕事に就く。自社パンのおいしい食べ方をあれこれ試しているうちにパンの魅力にハマり、その後ライター活動を始めてからも、そして活動拠点を福岡に移した2013年以降も、仕事のついでに気になるパン屋へ立ち寄り、新たなパンとの出合いを求め続けている。最近気になるのは、自分の体重と屋根で勝手に居候するスズメたちのこと。

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