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管理栄養士&米粉研究家の中村りえさんに聞く、今注目される「米粉」の魅力と楽しみ方
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管理栄養士&米粉研究家の中村りえさんに聞く、今注目される「米粉」の魅力と楽しみ方

ありま しょうこ
ありま しょうこ

日本人の主食として親しまれてきた「お米」。残念ながら年々その消費量は減少しており、急速に米離れが進んでいるといわれています。そこで注目されているのが、そのまま「ご飯」で食べるのではなくお菓子やパンに「米粉」として取り入れる楽しみ方。米粉とは、米を砕いて粉状にした食材のこと。国内で生産されている米粉の多くは、うるち米やもち米の白米を原料に作られています。

今回は、管理栄養士で米粉研究家でもある中村りえさんに米粉の魅力についてうかがいました。パンやスイーツはもちろん、おかずなどにも米粉を使ったレシピを多数考案。その発信を通じ、お米の消費量アップに取り組まれています。

中村りえさん(管理栄養士・米粉研究家)

管理栄養士のほか、マクロビオティックや食育の資格も持つ米粉料理家。米粉のお菓子教室やスタイリング、撮影まで幅広く手がけ、アレルギーやヴィーガンにも対応した制限を感じさせないレシピ開発を得意とする。自身もお米が好きで、家族の小麦アレルギーをきっかけに出会った米粉のおいしさに魅了されたという。また米食のよさを伝えることで米文化を守りたいと考え、米粉レシピサイト「米粉おやつLabo」を立ち上げて発信を続ける。多彩な米粉レシピを集めた「米粉のおやつとおかず」(宝島社)の発刊に加え、栄養監修やレシピ監修、各メディアへの出演も多数。

米粉が秘める無限大の可能性、もっといろんな人に知ってほしい

──中村さんが米粉に興味を持ったきっかけを教えてください。

家族が小麦アレルギーを持っており、おいしいパンやお菓子を食べてもらいたくて、米粉を使ったのがきっかけでした。米粉で初めて蒸しパンを作ってみたところ、ふんわりとしながらもモチモチした独特の食感と、ほんのり甘くてやさしい風味が気に入りました。それから、みんなにもっと米粉の魅力を伝えたいと思い、米粉専門の管理栄養士としての活動をスタートしました。

──米粉の特徴や魅力、メリットはどのようなところでしょうか?

麦を原料とする小麦粉には、グルテンというたんぱく質の一種が含まれています。グルテンは生地の弾力や粘りのもととなる成分のため、パンづくりにおいては欠かせません。ただし体質によってはアレルギー源となってしまう人もおり、グルテンを含まない米粉は「ノングルテン・グルテンフリー食材」としての注目が高まっているんです。

アミノ酸バランスに優れたお米を、ご飯とは違う食べ方で摂取することができる

また、米粉と小麦粉を比較すると糖質やカロリーはほとんど変わりません。しかし100gあたりの脂質は、薄力粉1.5gに対し米粉0.7gと、米粉を使えば1/2程度に抑えることができます。たんぱく質の栄養価の指標となるアミノ酸スコアについても、小麦粉41のところ米粉は65。栄養価が高いヘルシー食材といえますね。小麦粉よりも油の吸収率が低いため、揚げものに使うと冷めてもサクサク感が続きます。消化がよく、胃もたれしにくいのも特徴です。

<参考文献>

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版 (8訂)」
科学技術庁資源調査所「食品のたんぱく質とアミノ酸」

米粉の魅力は、なんといってもその扱いやすさです。油分が少なくサラサラとしているので、調理工程の多いレシピでも比較的手軽にチャレンジできます。ダマになりにくいから粉をふるう必要がなく、調理時間の短縮にもつながりますね。パンづくりの際には、グルテンが含まれていないためこねる工程を省くことができ、発酵時間をかけずにできちゃいます。さらに、水に溶けやすいから作業後の洗い物がするっと落ちて楽ちんなのも、主婦目線ではうれしいですね!

お米ならではのやさしい甘さやおいしさがあり、カリカリ、ふわふわとしたおやつが作れる

──パンづくりをするとき、小麦粉を米粉に置き換えてもいいのですか?

小麦粉は、水を加えてこねるとグルテンが発生して、立体的な形を作ることができます。その点で米粉はグルテンを含まないので、水を加えただけではサラッとしたまま。ただ置き換えるだけではなく、サイリウムや豆腐などを加えることで形を作ることができるようになります。サイリウムを使う場合、米粉100gあたり2〜4gを入れて使用してください。また、市販の米粉はメーカーによって吸水量が異なるので注意が必要です。

米粉ビギナーには、サイリウムや豆腐なしでできるパウンド型で焼く食パンがおすすめだそう

中村さんおすすめスイーツレシピ「卵なしでふんわりバナナマフィン」

卵やバターを使わず、混ぜて焼くだけの簡単レシピ。朝食やおやつタイムにもぴったり!

■材料(マフィン型5個分)
米粉……120g※本レシピでは、共立食品の「米の粉」を使用
ベーキングパウダー……小さじ1
バナナ……1本(約100g)
無調整豆乳……80ml
米油……大さじ2
メープルシロップ……大さじ1.5

 ■下準備
オーブンを180℃に予熱する。
マフィンカップにグラシンをセットする。

■作り方
1.バナナは薄い輪切りを5枚用意し、残りはボウルに入れてフォークの背でつぶしてペースト状にする。
2.豆乳、米油、メープルシロップを入れて泡立て器で混ぜる。
3.米粉を入れて混ぜ、ベーキングパウダーを入れてさらに混ぜる。
4.マフィンカップに生地を流し、トッピング用のバナナをのせて180℃のオーブンで18〜25分焼き色を見ながら焼く。竹串を刺して生地がついてこなければ完成!

──最後に、ぱんてなの読者に向けてメッセージをお願いします。

「米粉」のパンづくりは「難しそう」と思われがちですが、実はとっても簡単。米粉を使えば、パンなら発酵1回で作れるものや、こねずに混ぜるだけで作れるレシピもたくさんあります。また、パンやお菓子以外にも、唐揚げの衣、スープのとろみづけと使い方は多彩!日本人がずっと食べてきた主食だからこそ感じるおいしさ、ぜひ米粉を気軽に取り入れて楽しんでほしいですね。


米粉研究家・管理栄養士の立場から、オリジナルの米粉レシピを発信する中村さん。誰もが食べられ、しかもおいしさにもこだわった活動を続けています。二児の母として、これからも家族みんなが笑顔で囲める食卓を提案してくれるはず。さらなるご活躍が楽しみです。

農林水産省のデータによると、日本人が月に3回米粉パンを食べれば食料自給率は1%上がるのだとか。私たちが米粉のよさを知り、もっと活用することで日本の農業にちょっぴり貢献できるはず!

この記事をきっかけに、ぜひみなさんも米粉パンに挑戦してみてください。

「米粉のおやつとおかず」(宝島社)

購入はこちら(HonyaClub)

中村りえ

公式ホームページ「米粉おやつLabo」
https://komeko-oyatsulabo.com/
公式ブログ「暮らしを楽しむごはんとおやつ」
https://ameblo.jp/rie707rn/

WRITER

ありま しょうこ

ありま しょうこ

岡山の地域情報誌『タウン情報おかやま』『オセラ』随一のパン好きスタッフで、自称「ぱんライター」としても活動中。

パンシェルジュ3・2・1級のほか、パンプロフェッショナル・パンスペシャリスト・手作りパンソムリエ・ベーカリーパティシエ・カレーパンタジスタの資格も取得。

このたび、ずっと夢だった『パンの本』の創刊編集長に就任。

『WEBタウン情報おかやま』では、岡山のパン屋さんを紹介する企画『パンのとりこ』を連載。

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