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パンの種類を見てみよう
基本のキ

パンの種類を見てみよう

辻 美穂
辻 美穂

~第1回 パンの種類を見てみよう~

パンシェルジュを目指すために学ぶ基本的な知識を、写真とともにわかりやすく紹介する『パンシェルジュ 基本のキ』。第1回は世界の主なパンの種類を、国ごとに紹介します。

みなさんは普段、パンを何で選びますか?見た目、食感、価格などいろいろな視点で選んでいると思いますが、この記事を読めば、「これは、この国のパンだ!」と、パン屋さんでの商品選びがまた楽しくなりますよ。それでは世界にはどんなパンの種類があるのか、早速見てみましょう!

フランス

バゲットやクロワッサン、食パンに似たパン・ド・ミなど、日本でもおなじみのものが多いフランスのパン。世界の食通を魅了する料理はもちろん、ワインやチーズととともに楽しめる、シンプルながら洗練されたパンが多いのが特徴です。

【バゲット(パン・トラディショネル)】
パリッと香ばしい皮と、しっとりした中の生地。この絶妙な食感が楽しめる「バゲット」は、粉、水、塩、イーストのみと作り方がシンプルなだけに、シェフにとっては腕の見せ所。看板商品にしているお店も多いパンです。長さや重さが違うだけで、作り方は同じ「パリジャン」などもありますが、これらは総称して「パン・トラディショネル」と呼びます。

【クロワッサン】
ウィーンで発祥し、マリー・アントワネットとルイ16世の結婚によってフランスに伝わったといわれています。バターの豊かな風味と軽やかな食感が特長の「クロワッサン」は、日本の食生活にも浸透。
余った生地から生まれたというジョアンやドンクの量り売り「ミニクロワッサン」は、販売開始から30年以上経った今も根強い人気です。

【パン・ド・ミ】
「ミ」は中身を表す「パン・ド・ミ」は、皮のパリパリ食感を楽しむ「バゲット」とは対照的に、中の生地を楽しむパンです。砂糖や油脂を配合し、「パン・トラディショネル」よりもほんのりとした上品な甘さと、やわらかな口当たりが日本人にも好まれています。日本の食パンによく似ていますが、食パンのルーツは「パン・ド・ミ」ではなく、「イギリスパン」と言われています。

イタリア

塩味のパンが多いイタリアのパンは、トマトやチーズ、バジルなどが使われる料理によく合います。古代ローマ時代から作られ、ピザの原型とも言われる「フォカッチャ」や、カフェなどのサンドイッチメニューによく使われている「チャバッタ」などがあります。

【フォカッチャ】
イタリア語で“火で焼いたもの”を意味する「フォカッチャ」は、イタリアの代表的な食事パンです。オリーブオイルを練り込んだ薄い塩味の生地は、トマトソースによく合います。生地のソフト感を出すため、最低でも厚さ1センチぐらいに作るそう。
日本では、PASCO(敷島製パン)から「超熟フォカッチャ」が発売されたことで注目を浴びました。

【チャバッタ】
イタリア北部、ロンバルディア地方でよく食べられているパンです。バターや牛乳を使わず、油脂も入れないのでカロリー控えめ。発酵時間が長いので、少し酸味のある独特な味わいです。この名前は、長くて平たい形のスリッパ(チャバッタ)に似ていることからついたもの。小さいものや丸いものもありますが、こちらはチャバッティーナと呼ばれます。

ドイツ

日本でもすでにおなじみの「シュトーレン」や「プレッツェル」といった、小麦粉を使用したパンもありますが、もともとライ麦を使うものが多いのが、ドイツパンの特徴。これは、小麦が育ちにくいという土地柄が関係しているようです。

【シュトーレン】
バターやフルーツをたっぷり使い、表面を砂糖でコーティングした、ドイツのクリスマスには欠かせない菓子パン。4週間前の日曜日から作り始めて、毎日少しずつ食べていきます。近年は日本のパン屋やパティスリーでもよく見かけるようになりましたが、お店によって練り込むスパイスやフルーツが違うので、その違いを比較して楽しんでみるのもおすすめです。

【プレッツェル】
表面をアルカリ溶液(ラオゲン液)に浸して焼く、独特の風味とツヤのあるパンです。「プレッツェル」はラテン語で“腕”という意味。腕を組んだような形から名付けられたと言われています。塩味がビールのおつまみにも合うので、本場ではビアホールでも販売されています。最近は、おつまみ向け商品もあるグリコの『プリッツ』は、これを発想に誕生したそうです。

イギリス

島国であるためか、イングリッシュ・ブレックファストやサンドイッチ、クリームティーなど、大陸とは違う独自の文化があるイギリス。パンも「イングリッシュマフィン」や「スコーン」など、イギリスならではのものがそろっています。

【イングリッシュマフィン】
表面のコーンミールが香ばしい「イングリッシュマフィン」は、ハムやベーコンエッグなど、塩気のあるものと一緒に、主に朝食として食べられているパンです。マクドナルドの「ソーセージエッグマフィン」など朝マックメニューでもおなじみですね。ナイフを使わず手でふたつに割り、トースターやグリルでこんがりと焼くのが、最もおいしく味わうコツです。

【スコーン】
ベーキングパウダーを使用し、外側はサクッと、内側はしっとりやわらかい、スコットランド発祥のパンです。“クリームティー”は紅茶とともに、デボン州伝統のクロテッドクリームとジャムをつけたスコーンを味わうものですが、このクリームとジャム、どちらを先につけるかはネット上で論争が起きることも。それほど、イギリスでは日常的な習慣なのですね。

日本

食パンなど食事用のパンもありますが、どちらかというと「あんぱん」などの副食的なおやつパンや、「カレーパン」、「焼きそばパン」などといった調理パンの種類が豊富です。また、各地方にバラエティ豊富なご当地パンがあるのも特徴ではないでしょうか。

【あんぱん】
パンになじみのなかった時代に、「日本人の口に合うパンを」と、5年もの歳月をかけて考案された、木村屋(明治2年創業)の「酒種あんぱん」がはじまり。のちに誕生した「桜あんぱん」のほか、つぶあんやこしあん、季節限定の栗入りなど、今ではさまざまなものが販売されています。刑事ドラマの張り込みシーンでともに登場する牛乳とも、相性抜群です。

【カレーパン】
カレーフィリングをパン生地で包み、衣をつけて油で揚げたパンです。1927(昭和2)年、東京の名花堂(現在はカトレア)がとんかつにヒントを得て考案したといわれています(諸説あり)。やがて日本中のパン屋でも販売されるようになり、焼きカレーパンをはじめ、生地や中の具を工夫した個性派も続々。Zopfや天馬など人気のカレーパン専門店も登場しています。

第1回はヨーロッパや日本の主なパンの種類を見てみましたが、いかがでしたか?今回紹介した「世界のパン」を知っていれば、「この時にはこれ」と料理やシーンに合わせてパンを選ぶことができますし、パンシェルジュ検定3級にも登場するので、知っておいて損はありません!ぜひ覚えていただいて、日常生活はもちろん、パンシェルジュ検定の受験対策にも役立ててください。

次回は「パンをおいしく保存しよう」。パンを最後のひと切れまでおいしく食べるにはどうすればいいのか、そのコツをご紹介しますので、こちらもお楽しみに♪

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WRITER

辻 美穂

辻 美穂

とにかく食べること、飲むことが好きで、異業種から食の業界へ転職をとフードコーディネーターの学校へ。複数の調理現場でバイトしたあと、菓子とパンの会社で商品企画の仕事に就く。自社パンのおいしい食べ方をあれこれ試しているうちにパンの魅力にハマり、その後ライター活動を始めてからも、そして活動拠点を福岡に移した2013年以降も、仕事のついでに気になるパン屋へ立ち寄り、新たなパンとの出合いを求め続けている。最近気になるのは、自分の体重と屋根で勝手に居候するスズメたちのこと。

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