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歴史あるパン料理「ハトシ」とは?「史跡料亭 花月」からお取り寄せして実食!
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歴史あるパン料理「ハトシ」とは?「史跡料亭 花月」からお取り寄せして実食!

辻 美穂
辻 美穂

パンを使った料理は、サンドイッチをはじめ各国にさまざまなものがありますが、日本にも歴史あるパン料理があるのをご存知ですか?それは、長崎で明治時代から食べられているという郷土料理「ハトシ」。

今回は、「ハトシ」を提供している料亭「史跡料亭 花月」から、実際にお取り寄せして調理・実食しました。また、お店に「ハトシ」について詳しくうかがいました。

長崎で愛される郷土料理「ハトシ」とは?

「ハトシ」とは、中国から長崎に伝わった料理で、海老のすり身を食パンではさんで揚げた郷土料理。“海老パン”としてご存知の方も多いかもしれませんね。

長崎で「ハトシ」が食べられるようになったのは、明治時代ごろといわれています。そして現代になり、卓袱(しっぽく)料理(※)の一品として提供したのは、「史跡料亭 花月」が初めて。

ほかにも、かまぼこ店などで販売されている「ハトシロール」など、アレンジした商品も多数あり、地元ではさまざまな形で親しまれています。

※・・・円卓で大皿料理を囲みながら楽しむ会食スタイルで、鎖国時代も中国やオランダ、ポルトガルとの貿易が許されていた長崎ならではの、和・中・洋の料理が並ぶのが特徴。「史跡料亭 花月」では、刺身や角煮、「パスティ」という南蛮料理などが登場します。

ハトシ 花月

広東語で“海老トースト”を意味する「蝦多士(ハートシー)」を真似て、長崎では「ハトシ」となったそう。「史跡料亭 花月」では、「海老」と「鰻と玉子」の2種が、お昼の8,000円コースで味わえます(消費税・サービス料別、お昼のその他コースにも追加可能)。また、「ハトシ」のみお取り寄せも可能です。

筆者は数年前に「ハトシ」を知ったものの、まだ、食べたことがありませんでした。そこで、「史跡料亭 花月」の「ハトシ」をお取り寄せし、味わってみることにしました。

「ハトシ」をお取り寄せ

「史跡料亭 花月」オンラインショップにて、「ハトシ」をお取り寄せ。冷凍便で到着しました!

ハトシ 花月

包装紙を開くと、上品なえんじ色の箱が出てきます。

箱を開けると、“この度はお取り寄せ頂き誠にありがとうございます”というメッセージが。老舗料亭のおもてなしの心を感じます。

ハトシ 花月

お店の方と直接お話しせずに購入するからこそ、このようなメモが、ちょっと嬉しかったりします。

今回は、お店でいただけるのと同じ「海老」と「鰻と玉子」が1個ずつ入ったセットをお取り寄せ。

ハトシ 花月

1個ずつ個包装された「ハトシ」2個ずつ、計4個が入ったセットもあります。

冷凍庫に入れておけば1ヶ月ほど保存できますが、到着から3日ぐらいなら、冷蔵庫で保存して自然解凍し、調理すればOKだそうです。筆者も冷蔵庫で解凍してから、調理を開始しました。

油で揚げて、アツアツを実食!

定番「海老」から実食!

「ハトシ」という名の由来でもある、定番の「海老」から調理開始!封を開けただけで、海老の香りが広がります。

ハトシ 花月

食パンの耳ギリギリまで、海老のすり身がたっぷり入っています。

説明書きを読みながら、鍋に油を注いで、130~150℃の低温で10分程度揚げてみました。

花月 ハトシ

揚げ始めたとたん、食欲そそる海老の香ばしい香りが弾けます!

油で揚げたあと、オーブンやトースターで熱すると、余分な油が落ちて、さらにおいしく食べられるそう。筆者もやってみました。

ハトシ 花月

食パンをトーストするように、3分程度熱するのがベストだそうです。

そしてようやく完成!アツアツを早速いただきます!

ハトシ 花月

油で揚げると、海老のすり身はより鮮やかな色みに。

サクッと香ばしく揚がったパンの中には、なめらかな食感のすり身。口の中でふわっとほどける瞬間に、うまみや香りがぶわっと広がります。

すり身の中にはカットした海老も入っているので、プリプリッとした食感も楽しめ、海老そのものの味わいがしっかり堪能できました。

変わり種「鰻と玉子」も実食

次は「鰻と玉子」。おそらくパンとの組み合わせでは珍しいこの「ハトシ」も、調理し実食しました。

ハトシ 花月

こちらも調理方法は「海老」とまったく同じ。うなぎのいい香りに誘惑されながら、こんがり仕上げることができました。

まろやかでコクのある玉子焼きの中に、香ばしいうなぎの蒲焼。この組み合わせは、サクッと揚げたパンにもよく合います。

また、細かく刻んだ蒲焼が均等に入っているので、最後まで同じ味わいが楽しめるのも嬉しいですね。

どちらも、生地に甘みがあり、バターが香る食パンと相性抜群。油で揚げているにもかかわらず、軽やかで上品な味わいなのは、やはり歴史ある料亭の味だからでしょうか。

また、袋を開けて揚げるだけと調理も簡単で、具とパンが分離することなく、きれいに、おいしく仕上げることができました。油の温度や揚げ時間を調整しながら、好みの揚げ色に仕上げるとよさそうです。

「ハトシ」のおいしさの秘密などを聞いてみました

「史跡料亭 花月」の営業企画部メディア広報担当・古賀加奈子さんに、「ハトシ」についてお話をうかがってみました。

──「ハトシ」をメニューに取り入れた時期や、お取り寄せを始めた経緯を教えてください。

現在の料理長が就任した20年前に、卓袱料理の「御家喜物(おやきもの・焼き物)」としてメニューに取り入れました。その後、「花月」ならではの味をご家庭でも楽しんでいただきたいと、お取り寄せを始めました。

──製法や材料など、こだわりを教えてください。

まず、ご家庭でもきれいなきつね色に揚げることができるよう、厚さを均一にすることにこだわっています。そして「海老」には、車海老を加えて、海老の風味をより楽しんでいただけるように仕上げました。

ハトシ 花月

すり身に加えているのはもちろん、刻んだ身も車海老を使用した「海老」。

「鰻と玉子」は、料理長が“花月らしい「ハトシ」を”と考案したオリジナル。鰻と相性のよい卵には、ホワイトソースを加えてコクを出しています。

ハトシ 花月

鰻を細かく切って均一に入れているのは、切った時に鰻が剥がれないようにという想いもあるそう。

─「ハトシ」はどのように楽しめばよいですか?

お手軽なおつまみや、オードブルの一品に最適だと思います。また、冷めてもおいしいので、お弁当にもおすすめです。和・華・蘭(洋)が融合した、長崎ならではの卓袱料理の味を、さまざまなシーンで、手軽にお楽しみください。

創業380年の老舗「史跡料亭 花月」

全国的にも珍しい県指定の史跡料亭。結婚式の披露宴など、“ハレの日はここで”というのが定番であるほど、長きにわたり、地元で親しまれています。
四季の移ろいが楽しめる800坪の日本庭園を眺めながら、伝統を守りつつ、時代に合うように工夫された卓袱料理を味わうことができます。

ハトシ 花月


大きな提灯が印象的な玄関。明治12年に起きた周辺の火事や太平洋戦争時の原爆投下にも耐えた、歴史ある貴重な建物です。

また、かつて幕末の志士たちが集った場所としても知られ、その後も館内には、坂本龍馬直筆の書や貴重な美術品の数々など展示されています。

ハトシ 花月

龍馬のものと伝わる刀傷が残る2F「竜の間」。まるで1Fにいるかのように見える、江戸時代に作庭された美しい庭園の眺めも人気です。


鮮やかな色みでテーブルを華やかに演出してくれそうな「ハトシ」。アルコールにも合いそうですし、急な来客やホームパーティーにも活躍しそうです。機会があれば、長崎の歴史や伝統を感じながら味わってみてはいかがでしょうか。

■史跡料亭 花月

住所
長崎県長崎市丸山町2-1
オンラインショップ
https://ryoutei-kagetsu.ocnk.net/

WRITER

辻 美穂

辻 美穂

とにかく食べること、飲むことが好きで、異業種から食の業界へ転職をとフードコーディネーターの学校へ。複数の調理現場でバイトしたあと、菓子とパンの会社で商品企画の仕事に就く。自社パンのおいしい食べ方をあれこれ試しているうちにパンの魅力にハマり、その後ライター活動を始めてからも、そして活動拠点を福岡に移した2013年以降も、仕事のついでに気になるパン屋へ立ち寄り、新たなパンとの出合いを求め続けている。最近気になるのは、自分の体重と屋根で勝手に居候するスズメたちのこと。

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