大人気のチョコレートバー「ブラックサンダー」。30円という手頃な価格、ザクザクとした食感と満足感でおやつはもちろん、小腹が減ったときに頼りになる存在です。その「ブラックサンダー」の姉妹品として「トースト専用ブラックサンダー」という商品があるのをご存知でしょうか？　その名の通り、食パンにのせて焼いて食べる「ブラックサンダー」なんです！東京都小平市にある製造販売元、有楽製菓の工場と直営店にお邪魔！「トースト専用ブラックサンダー」を担当している事業開発本部の森黎奈（もり れな）さんにお話を伺いました。

約1年の開発期間をかけて誕生。「ブラックサンダー」をもっとたくさんの人に知ってもらいたいから

──「トースト専用ブラックサンダー」はいつ誕生したのでしょうか？ スーパーやコンビニでは見たことがありません。

2019年7月ごろ、愛知県豊橋夢工場で勤務している私の先輩に当たる商品開発担当者とマーケティングの担当者2名で開発を開始し、約1年をかけて完成させました。テスト販売として直営店で売り始めたのが2020年6月で、通販での取り扱いを開始したのは2020年11月末と比較的新しい商品です。今も直営店と通販だけで販売しています。

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スーパーやコンビニに並ぶ「ブラックサンダー」は愛知県にある豊橋夢工場のライン製造で作っていますが、「トースト専用ブラックサンダー」は東京工場で作っています。手作業で行う工程が多く、さらに割れやすいという特性もあるので、現在は東京工場直営店と豊橋夢工場直営店、そして通販だけで販売しています。

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──「トースト専用ブラックサンダー」が生まれたのはどんな理由や狙いがあったのでしょうか。

企画が生まれた背景は、おやつ以外でも「ブラックサンダー」に触れてもらいたいと考えたことです。「ブラックサンダー」はコンビニではレジ横に置かれたり、スーパーでは駄菓子コーナーに置かれたりしています。

リピーターも多い商品ですが、認知度調査を行うとご存知ない方も多いんです。それはお菓子コーナーって、行かない人はほとんど行かないからでは？と考えました。

一方で、通勤や通学途中にコンビニで「ブラックサンダー」を買って、朝ごはんがわりにしているという声がありました。実は私も高校生の時に食パンに「ブラックサンダー」を挟んで食べたりしていたんです。つまり朝食と「ブラックサンダー」は相性がいいという気づきがあったんです！

それで朝ごはん用の商品があれば「ブラックサンダー」を手に取ったことがない方にも試してもらえるかもしれないね、と企画が始まりました。

サクサクとザクザク、2つの食感とゴツゴツとした見た目を「トースト専用ブラックサンダー」でも

──「トースト専用ブラックサンダー」は厚さ5mm程度の薄い板状ですね。通常の商品と同じようにザクザクしているのがわかりやすいと思います。この形はすぐに決まったんですか？

朝食と「ブラックサンダー」の組み合わせとして、パンに塗るスプレッドタイプとシリアルを考えました。「ブラックサンダー」のおいしさと満足感は、サクサク軽い食感の白いプレーンビスケットとザクザクした黒いココアクッキーの2種類が入っていることがポイントなんです。だからトースト専用の商品も食感を楽しんでもらうことが絶対に外せない要素でした。

色々試した結果、チューブ入りのスプレッドタイプにしてしまうと、ザクザク食感のもととなるビスケットを入れることが難しいことがわかりました。それに、塗る手間もかかってしまいます。そこでヒントになったのはスライスチーズです。シート状なら、「ブラックサンダー」らしいザクザクとした食感も大切にできるし、ゴツゴツとした見た目も残すことができます。袋から出してパンにのせて焼くだけなので、忙しい朝でも手軽です。

具材が入っていることや、ゴツゴツとした見た目は外せないこだわりです。今の具材の比率や製法に行きつくまでは、ギリギリまで悩みました。

こだわりはトーストとの一体感。とろりとするチョコレートに秘密あり！

──通常の「ブラックサンダー」を刻んでパンにのせて焼くのとは、どのあたりが違うんでしょうか？

通常の「ブラックサンダー」はパンにのせてトースターで焼いてもトロッと溶け出すことはありません。焼きチョコのようにはなると思いますが、トーストとの一体感は出ないんです。

「トースト専用ブラックサンダー」はトーストとの一体感が出るように、熱を加えると溶けやすいチョコレートを採用しています。チョコレートはカカオパウダーとカカオバターなどの油脂、砂糖と粉乳などを混ぜて作ります。油脂は融点がさまざまで、温度によって形状が変わります。例えば、ラードは常温で固形、一方でサラダ油は液体です。チョコレートも融点の低い油脂で作ったものは溶けやすくなります。

いろんなチョコレートを使って試作して、パンとの相性のよいもの、食感がよいものを見つけ、その特徴を突き詰めていって、今のトロッと溶けだすチョコレートにたどり着くことができました。

──ポイントは油脂ですか！ それで熱を加えるととろけやすい「ブラックサンダー」ができたのですね。

パッケージを見比べてみてください。通常の「ブラックサンダー」は28度以下で保存と書いてありますが、トースト専用は25度以下です。少しでも温度が高い場所にあると、チョコレートがゆるくなって、割れやすくなってしまったり、袋にチョコレートがついて取り出しにくくなってしまったりします。それが、直営店＆通販限定の理由でもあります。

──トースターに入れた瞬間、表面が溶け出したのはびっくりしました。

焼き加減の設定は何度も試しました。トースターのメーカーやワット数、何分で溶けだしたか、完成までの時間などのデータも社内で協力して集めました。

弊社では、トースターで調理する食品の取り扱いが初めてで、トースターを利用する他社商品の表記も参考にしました。特に火傷や火事といった事故がないように注意事項を記すことも重要で、その知識を得るために苦労しました。

実は、もうひとつ大切なポイントとして考えたのは大きさです。パンにいきわたるちょうどいいサイズを目指したんです。大きすぎると溢れてしまうし、小さいと満足感が得られません。食パンもいろんな厚みのものを買い集めて試してみました。

今は、6枚切りの食パンと合わせるとちょうどいいサイズと量になっています。関西では5枚切りが主流ですが、5枚切りと合わせると少し物足りないと思う方もいるかもしれません。ぜひ6枚切りで試してもらいたいです。

そのまま食べるより、食パンと一緒に焼いたほうがおいしい

それから「トースト専用ブラックサンダー」は、焼かないとおいしくないんです。

──えっ！焼かないとおいしくないってどういうことですか？

一般的にチョコレートは、口に入れた時スッとなくなるからおいしく感じます。「トースト専用ブラックサンダー」を通常のチョコレートで作ると、チョコレートの味が先になくなってパンの味ばかりが残ってしまって、おいしくなかったんです。

「トースト専用ブラックサンダー」は、焼かずに単体で食べるよりも、食パンと一緒に焼いて食べたほうがおいしく感じるチョコレートなんです。その代わり、単体で食べるといつまでも溶けなくて口の中に残りやすい特徴があります。それでパンにのせて焼いて、溶かした状態がおいしいんですよ。

ただし、焼きすぎには注意してください。「トースト専用ブラックサンダー」は焼きすぎると固くなってしまいます。

──なるほど。使うトースターによってもちょうどいい時間は若干異なりそうです。森さんのおすすめの食べ方はありますか？

パンをあまり焼かないほうが好みだったら、まず食パンに「トースト専用ブラックサンダー」をのせてトースターで1～2分焼くのがおすすめです。

私はパンをしっかり焼くほうが好みなんです。パンだけを先にトースターで2～3分焼き色がつくまで焼いてから「トースト専用ブラックサンダー」をのせています。それから1分から1分30秒ほど焼くと、サクサクのパンとザクザクの「ブラックサンダー」の両方の食感を楽しめます。

焼き上がるまで変化を楽しみながら、お好みの焼き時間を見つけてもらいたいですね。

──「ブラックサンダー」といえば、季節限定などさまざまな味わいの商品も魅力です。「トースト専用ブラックサンダー」も新しいバリエーションが出る予定はありますか？

実は豊橋夢工場直営店でだけ、きなこ味をテスト販売しています。「ブラックサンダー」にもきなこ味があるので開発してみました。きなこ味なので、お鍋用の薄いお餅と一緒に焼いてみたらおいしかったです。

他にもいろんな味のものを作っていきたいと思っていますし、お客さんもいろんなアレンジを試していただきTwitterなどで教えてもらえたら嬉しいです。

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「トースト専用ブラックサンダー」は、「ブラックサンダー」とは別のチョコレートを使うことで、焼いておいしい、トーストとの一体感もある商品になっていたんですね。

珍しいし値段も手頃なのでちょっとしたプレゼントにもおすすめです。温かいチョコレートのとろり感とザクザク食感、そして香ばしいトーストの組み合わせがおいしい「トースト専用ブラックサンダー」なら、寒い朝でも元気が出そうです。　バレンタインデーの朝食に用意すれば、家族が喜んでくれそうですね。

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