1. ホーム
  2. パン記事
  3. 新着記事
  4. パン屋さんに聞きました!知られざる夏の苦労とは?
パン屋さんに聞きました!知られざる夏の苦労とは?
新着記事

パン屋さんに聞きました!知られざる夏の苦労とは?

辻 美穂
辻 美穂

みなさんは、暑~い夏でも、パンを食べる機会は多いですか?
パン好きとはいえ、「焼き立ては夏にはあまり食べないかも」「夏は食欲が落ちて、パンはちょっと重いかも」と思う人も、なかにはいることかと思います。そして、暑い夏にせっせとパンを焼いているパン屋さん自身も、夏場は非常に苦労しているはず……。
そこで今回は、パン屋さん18店舗に実施した「夏場の苦労話やあるあるネタ」アンケートをご紹介。
夏のパン屋さんの知られざる苦労や、面白エピソードなど、これを読んだら「夏場こそパンを食べなきゃ!」という気持ちになること間違いなし!?

パン屋さんのほとんどが「夏場のパンづくりは大変」と回答。その理由とは?

今回のアンケートでは、95%のパン屋さんが、“他の季節と比べて夏場のパンづくりは大変”と回答されています。その理由は、やはりパンづくりの大敵となる「夏の暑さと湿度」。生地の温度が上がりすぎると発酵しすぎてしまったり、水分が多すぎると生地がベタベタして扱いにくかったりと、パン生地はとってもデリケート。温度や湿度をきちんと管理しないと、うまくパンが作れなくなってしまいます。

実際にパン屋さんの回答でも、
・生地温度がすぐ上がるから、仕込み水の温度管理が大変。分割などの作業も時間をかけられない
・気温が高いので、発酵のスピードが1.5倍ぐらいになってしまい、生地がダレる
・発酵スピードに合わせるため、作業が慌ただしくなってしまう

などの回答をいただいています。近ごろは、猛暑が続いたり雨が続く時期があったりと、気候が非常に不安定な日本の夏。プロであるパン屋さんでも、温度や湿度管理に苦労されているようです。

夏のパン屋さん

また、
・オーブン付近は暑いので、汗が止まらない
・水分補給してもきりがない

など、熱中症対策の苦労や、
・エアコンがきまって夏に壊れる
・暑いと食欲が落ちるから、売り上げも落ちる
・売れ残ったパンを持ち帰るから、家の冷蔵庫がパンだらけになりがち
・腕をまくるので火傷する

という嘆きの声、
・冷蔵庫がこわれないように祈る
という神頼み的(?)な回答もありました。

夏のパン屋さん

夏もおいしいパンが食べられるのは、パン屋さんの努力や対策のおかげ!

ただでさえ厨房が暑いなか、パン屋さんは大変な思いをしてパンづくりをしていることがわかりました。アンケートではさらに“他の季節同様にパンを焼き上げるため、実施している対策や工夫はありますか?”という質問をしました。これには、全てのパン屋さんが“はい”と回答。具体的に実施している内容についても教えてくれました。

回答でいちばん多かったのは、
・エアコンで厨房内を温度調整
・仕込み水の水温調整

という内容。どちらも、パン生地の温度を上げないためですね。同時にホイロの温度や時間にも気配りもされているようです。
ほかには、
・SDGsを意識してエアコンに頼らず、生地の練り込みや発酵の方法で作業を効率化
といった、温度や湿度以外の方法で対策をしているという回答もありました。

夏のパン屋さん

夏もパンを食べてほしい!夏場の売り上げを伸ばすための工夫は?

食欲が落ちる夏は、パン屋さんの売上も減少する傾向に。「諦めています」と達観ぎみの回答もありましたが、それでも夏場の売り上げを伸ばすため、それぞれのお店でいろいろな工夫がされているようです。具体的な対策として回答が多かったのは、「夏向けのパン」の開発でした。
・レモンやフルーツなどを使用した、爽やかに味わえるパン
・旬野菜の惣菜パン
・冷やしておいしいパン
・辛いパン

などなど。夏でも食べやすく、食欲をそそるパンを揃えるようにしている工夫がよくわかります。また、パンの開発だけでなく、
・清涼感ある売場づくりをし、エアコンの風を入口に向ける
・ドリンクメニューを強化
・冷凍便の通販に力を入れる

などの回答もありました。

夏のパン屋さん

あるある話に思わず吹き出す失敗談も!? 夏場のパン屋さん事件簿

大変な時期だからこそ、つらいことばかりではなく、クスッと笑える事件や失敗談もあるようです。
夏のパン屋さんでは、こんなことが起きてました!

・生地を冷蔵庫に入れ忘れて巨大化してしまった
夏のパン屋さん
・大柄な従業員が毎夏、痩せるのが顕著
筆者も飲食店でバイト中、2カ月で6㎏落ちた経験が。
夏のパン屋さん
・厨房が暑過ぎるため、コーラの飲みすぎで太る
こんな逆パターンも。
暑い中で仕事していると、シュワッとしたものが飲みたくなる、そんな気持ちはよ~く分かります。
夏のパン屋さん
・鉢巻きタオルで作業しているので、お客さんから「魚屋のオジちゃん」と呼ばれる
パン屋さんなのに(笑)。
夏のパン屋さん
・暑すぎて全然パンが売れなかったので、陽が落ちてから海の家で行商した
夏のパン屋さん
もし、筆者がそんな場面に遭遇したら、買わずにはいられません!(涙)
夏のパン屋さん

以上、暑い夏の裏で繰り広げられるパン屋さんたちの知られざる苦労についてご紹介しました。
つらいエピソードも、笑っちゃうエピソードも、すべてはパン屋さんの「夏もパンをおいしく食べてもらいたい」思いから生まれたもの。暑い厨房でおいしいパンを焼いてくれるパン屋さんに感謝しながら、私たちも暑さに負けず、今年の夏もパンをもりもり食べましょう!では、筆者も早速、近くのパン屋さんへ行ってきま~す!

ご協力ありがとうございました!
-アンケートご回答店舗(順不同・敬称略)-

・ブーランジュリーアツシ
・べーぐり
・セモア!
・カノムパン
・パンプラス
・スコーン専門店 famfam(ファムファム)
・コーナーポケット
・XOCO(ショーコ)株式会社
・ベーカリー三日月
・パンの木
・パンとエスプレッソと自由形
・株式会社アンデ/ANDE
・喜福堂
・ミヤビ
・LITTLE BY LITTLE(リトル バイ リトル)
・サンメッセしんわ
・Connect(コネクト)
・ボンジュール神戸鈴鹿店

WRITER

辻 美穂

辻 美穂

とにかく食べること、飲むことが好きで、異業種から食の業界へ転職をとフードコーディネーターの学校へ。複数の調理現場でバイトしたあと、菓子とパンの会社で商品企画の仕事に就く。自社パンのおいしい食べ方をあれこれ試しているうちにパンの魅力にハマり、その後ライター活動を始めてからも、そして活動拠点を福岡に移した2013年以降も、仕事のついでに気になるパン屋へ立ち寄り、新たなパンとの出合いを求め続けている。最近気になるのは、自分の体重と屋根で勝手に居候するスズメたちのこと。

SPECIAL