老舗料亭が本気で作ったみそ食パン! 熊本県 くまもと料亭 田吾作の「田楽」を実食!
最近、「老舗料亭」のパンが、パン好きさんの間で注目されています。ジャンルは違えど、長年培ってきた伝統や技術を生かして作られるパンは、絶対においしいはず。
そこで今回は、熊本県熊本市に店を構える「くまもと料亭 田吾作」の「田楽」をお取り寄せ。そのままはもちろん、お店おすすめの食べ方でいただいてみました。
創業100年以上の老舗料亭「くまもと料亭 田吾作」
「くまもと料亭 田吾作」は明治28年創業。約一千坪もの敷地内にある日本庭園を眺めながら、郷土素材をふんだんに使用した、京懐石ベースの懐石料理が味わえる老舗料亭です。
今回、取り寄せた「田楽」は、創業時から100年以上受け継がれている、秘伝の「田楽みそ」を使用しています。「田楽みそ」は、みそに砂糖や卵などを煉り合わせ、じっくりと煮詰めて作った、職人の手作業が生きた「田吾作」ならではの逸品です。
さて、筆者はまだ経験したことがない“田楽みそ×パン”という組み合わせは、どんな味わいなのでしょうか。パンの到着を待ちます。
パンが到着!箱を開けると……
段ボールを開けると、さわやかながら落ち着きある、青と白が織りなすデザインの不織布で包まれた箱が出てきます。贈り物にもよさそうな見た目です。
そして結び目をほどくと……、シンプルながらスタイリッシュな箱の中に「田楽」が入っています。
冷凍状態で届く「田楽」は、3~4時間ほど自然解凍すれば食べごろに。解凍後は3日ほど、冷凍のままなら2週間ほどおいしさを保てるそうです。
ブレッドナイフがスーッと入る!なめらかな生地に驚き
食欲そそる、みその香りを感じながら、こんがり美しいきつね色のクラストに、ブレッドナイフを入れてみると……。
ナイフがスーッと、クラスト(耳)からクラム(中の生地)へスムーズに入っていきます。不器用な筆者でも表面がボロボロにならず、美しくスライスすることができました。なんてなめらかな生地なんでしょうか。
早速味わってみると、ほどよい甘みとコク、香ばしさがあり、やさしい味わいの「田楽みそ」がアクセントに感じられます。クラムがしっとり口どけがよいのはもちろん、さっくり香ばしいクラスト部分も、噛みしめると口の中へスーッと溶けていくような感じです。
そして、白い生地部分も、一般的な食パンとは違う甘みやうまみを感じます。どうやら、マーブル状に巻き込んだ「赤みそ」以外にも、生地自体に「白みそ」を練り込んでいるそう。「田吾作」伝統の「田楽みそ」をダブル使いしているパンなんですね。
みそ食パン「田楽」はどのようにして誕生したのでしょう?開発秘話を伺いました
秘伝の「田楽みそ」をパンに練り込むというのは、なかなか斬新なアイデアではと思いました。この「田楽」はどのようにして生まれたのか、株式会社田吾作の専務・北山春彦さんに開発秘話を聞いてみました。
──「田楽」が誕生した経緯を教えてください。
当店をもっと幅広い方々に利用していただくためには……と考えた時、ふと浮かんだのが、創業当初からの代表的な味である「田楽みそ」を使った食パンを作ることでした。まずは料亭伝統の味を気軽に食べていただき、当店の料理に興味を持っていただければと思い開発しました。
当初は周囲も乗り気ではなかったのですが、パン屋さんに依頼して最初に作ってもらったロールパンを地元百貨店のパンイベントで販売すると、お客様のみならず百貨店の上層部にも好評を得たことで、本格的な販売に向けて開発をスタートしました。その頃、ロールパンから、現在のマーブル状の食パンとして開発を始めました。
その後、縁あって知り合った「熊本製粉」のパンマイスター・長谷川信次さんが「田楽」をプロデュースしてくださることになり、オンライン販売へと至りました。長谷川さんは、全国のパン屋さんに経営やレシピ開発のアドバイスをしている方。“「田楽みそ」をマーブル状に練り込んだのは面白い”と言ってくださったんです。
──食材・製法の特徴やこだわりを教えてください。
やはり、創業当時から手づくりしている、2種類の「田楽みそ」を使用していることです。ほかには無い、当店ならではの味を、存分に楽しんでいただけると思います。また、パンとしてのクオリティにもこだわりたいと、熊本県玉名産の小麦粉「ミナミノカオリ」を使用しています。しっとりふわふわなパンに仕上がりました。
みそを使用しているぶん、パンが膨らみにくいので、今の大きさが限界です。その分、クラストは香ばしく、カリッと仕上がりました。“料亭が本気で作ったパン”「田楽」を多くの方に食べていただきたいですね。
おすすめの方法で「田楽」をさらに楽しむ
そのまま食べても十分においしい「田楽」ですが、北山さんにさらなる楽しみ方を教えていただいたので、試してみました。
①トーストで
まずは、いちばんおすすめだというトーストで食べてみました。かなりしっかり焼くほうがいいそうです。
クラストはよりサクッと、クラムはふ~んわり。ちょっと顔をうずめてみたくなるような、心地よいふかふかっとした感じになります。そして、田楽みその香ばしさがより広がるのはもちろんですが、甘みやコクも際立つようです。だからでしょうか、白い生地部分に“白みそが練り込まれている”ということを、より明確に感じることができます。
続いてのおすすめ、「チーズ&はちみつトースト」や「マーマレードをのせて食べる」のも試してみました。
②揚げ焼きで
オリーブオイルで「揚げ焼き」もおいしいと聞き、試してみました。はたして、オリーブオイルの風味と、「田楽」は合うのでしょうか?
アツアツを味わってみると、表面がカリッと軽やかで、中はとけるような食感に。また、田楽みその甘みやコクがさらに際立つようで、口の中に風味がさらに広がります。オリーブオイル独特のさわやかさやほろ苦さともよく合いますし、コクは出てもあと口がすっきり。クセになりそうな味わいです。
③ホームページのアレンジメニュー
「田吾作」のオンラインショップでは、さまざまなアレンジメニューを紹介しています。そちらも参考にしてみました。
「田楽」を実際に食べてみて、筆者は“新たなジャンルの食パン”を感じました。単なる和洋折衷のパンではなく、それを越えた食感や味わいが楽しめるのです。“いつもと違うパンを食べてみたい”という方にぜひおすすめです。
また、珍しい「田楽みそ」の食パンは、パン好きの方に贈れば、きっと喜んでくれるはず。包装も素敵なので、ギフトに利用するのもおすすめです。オンラインショップで購入が可能です。
熊本を訪れる機会があれば、このパンを生み出した「くまもと料亭 田吾作」へぜひ。鶴屋百貨店内の支店ではお弁当、本店では懐石料理コースが楽しめるので、伝統ある料亭の味を楽しんでみませんか。
※2022年6月からは、土日限定、各日10個限りで、「田吾作鶴屋店」にて「田楽」の販売もスタート。お近くの方は、こちらも利用してみてください。