歴史あるパン料理「ハトシ」とは?「史跡料亭 花月」からお取り寄せして実食!
パンを使った料理は、サンドイッチをはじめ各国にさまざまなものがありますが、日本にも歴史あるパン料理があるのをご存知ですか?それは、長崎で明治時代から食べられているという郷土料理「ハトシ」。
今回は、「ハトシ」を提供している料亭「史跡料亭 花月」から、実際にお取り寄せして調理・実食しました。また、お店に「ハトシ」について詳しくうかがいました。
長崎で愛される郷土料理「ハトシ」とは?
「ハトシ」とは、中国から長崎に伝わった料理で、海老のすり身を食パンではさんで揚げた郷土料理。“海老パン”としてご存知の方も多いかもしれませんね。
長崎で「ハトシ」が食べられるようになったのは、明治時代ごろといわれています。そして現代になり、卓袱(しっぽく)料理(※)の一品として提供したのは、「史跡料亭 花月」が初めて。
ほかにも、かまぼこ店などで販売されている「ハトシロール」など、アレンジした商品も多数あり、地元ではさまざまな形で親しまれています。
※・・・円卓で大皿料理を囲みながら楽しむ会食スタイルで、鎖国時代も中国やオランダ、ポルトガルとの貿易が許されていた長崎ならではの、和・中・洋の料理が並ぶのが特徴。「史跡料亭 花月」では、刺身や角煮、「パスティ」という南蛮料理などが登場します。
筆者は数年前に「ハトシ」を知ったものの、まだ、食べたことがありませんでした。そこで、「史跡料亭 花月」の「ハトシ」をお取り寄せし、味わってみることにしました。
「ハトシ」をお取り寄せ
「史跡料亭 花月」オンラインショップにて、「ハトシ」をお取り寄せ。冷凍便で到着しました!
箱を開けると、“この度はお取り寄せ頂き誠にありがとうございます”というメッセージが。老舗料亭のおもてなしの心を感じます。
今回は、お店でいただけるのと同じ「海老」と「鰻と玉子」が1個ずつ入ったセットをお取り寄せ。
冷凍庫に入れておけば1ヶ月ほど保存できますが、到着から3日ぐらいなら、冷蔵庫で保存して自然解凍し、調理すればOKだそうです。筆者も冷蔵庫で解凍してから、調理を開始しました。
油で揚げて、アツアツを実食!
定番「海老」から実食!
「ハトシ」という名の由来でもある、定番の「海老」から調理開始!封を開けただけで、海老の香りが広がります。
説明書きを読みながら、鍋に油を注いで、130~150℃の低温で10分程度揚げてみました。
油で揚げたあと、オーブンやトースターで熱すると、余分な油が落ちて、さらにおいしく食べられるそう。筆者もやってみました。
そしてようやく完成!アツアツを早速いただきます!
サクッと香ばしく揚がったパンの中には、なめらかな食感のすり身。口の中でふわっとほどける瞬間に、うまみや香りがぶわっと広がります。
すり身の中にはカットした海老も入っているので、プリプリッとした食感も楽しめ、海老そのものの味わいがしっかり堪能できました。
変わり種「鰻と玉子」も実食
次は「鰻と玉子」。おそらくパンとの組み合わせでは珍しいこの「ハトシ」も、調理し実食しました。
まろやかでコクのある玉子焼きの中に、香ばしいうなぎの蒲焼。この組み合わせは、サクッと揚げたパンにもよく合います。
また、細かく刻んだ蒲焼が均等に入っているので、最後まで同じ味わいが楽しめるのも嬉しいですね。
どちらも、生地に甘みがあり、バターが香る食パンと相性抜群。油で揚げているにもかかわらず、軽やかで上品な味わいなのは、やはり歴史ある料亭の味だからでしょうか。
また、袋を開けて揚げるだけと調理も簡単で、具とパンが分離することなく、きれいに、おいしく仕上げることができました。油の温度や揚げ時間を調整しながら、好みの揚げ色に仕上げるとよさそうです。
「ハトシ」のおいしさの秘密などを聞いてみました
「史跡料亭 花月」の営業企画部メディア広報担当・古賀加奈子さんに、「ハトシ」についてお話をうかがってみました。
──「ハトシ」をメニューに取り入れた時期や、お取り寄せを始めた経緯を教えてください。
現在の料理長が就任した20年前に、卓袱料理の「御家喜物(おやきもの・焼き物)」としてメニューに取り入れました。その後、「花月」ならではの味をご家庭でも楽しんでいただきたいと、お取り寄せを始めました。
──製法や材料など、こだわりを教えてください。
まず、ご家庭でもきれいなきつね色に揚げることができるよう、厚さを均一にすることにこだわっています。そして「海老」には、車海老を加えて、海老の風味をより楽しんでいただけるように仕上げました。
「鰻と玉子」は、料理長が“花月らしい「ハトシ」を”と考案したオリジナル。鰻と相性のよい卵には、ホワイトソースを加えてコクを出しています。
─「ハトシ」はどのように楽しめばよいですか?
お手軽なおつまみや、オードブルの一品に最適だと思います。また、冷めてもおいしいので、お弁当にもおすすめです。和・華・蘭(洋)が融合した、長崎ならではの卓袱料理の味を、さまざまなシーンで、手軽にお楽しみください。
創業380年の老舗「史跡料亭 花月」
全国的にも珍しい県指定の史跡料亭。結婚式の披露宴など、“ハレの日はここで”というのが定番であるほど、長きにわたり、地元で親しまれています。
四季の移ろいが楽しめる800坪の日本庭園を眺めながら、伝統を守りつつ、時代に合うように工夫された卓袱料理を味わうことができます。
また、かつて幕末の志士たちが集った場所としても知られ、その後も館内には、坂本龍馬直筆の書や貴重な美術品の数々など展示されています。
鮮やかな色みでテーブルを華やかに演出してくれそうな「ハトシ」。アルコールにも合いそうですし、急な来客やホームパーティーにも活躍しそうです。機会があれば、長崎の歴史や伝統を感じながら味わってみてはいかがでしょうか。
■史跡料亭 花月
- 住所
- 長崎県長崎市丸山町2-1
- オンラインショップ
- https://ryoutei-kagetsu.ocnk.net/