水族館生まれのパンの人気の秘密とは?京都水族館「すいぞくパン」を実食!
動物をかたどったかわいいパンは、今も昔も子どもたちから大人気。こうしたパンが、本物のいきものと出会える水族館でも販売されていることをご存知でしょうか。
京都市下京区・梅小路公園内にある「京都水族館」では、水族館のいきものをかたどったパン「すいぞくパン」を館内カフェで限定販売しています。そのキュートさは開業当初より話題となり、SNS上でも人気を呼んでいます。
そこで、見た目のかわいさはもちろん、お味も気になる「すいぞくパン」をぱんてなライターが実食レポート。さらに開発秘話について、京都水族館・企画広報チームの住本麻美さんにお話を伺いました。
食べるのがもったいない!キュートな「すいぞくパン」をまずは実食
京都水族館で2022年7月現在販売中の「すいぞくパン」は、「オオサンショウウオ(クリームパン)」と「ミドリガメ(メロンパン)」。まずは実食し、そのかわいさとお味を体感しました。
・オオサンショウウオ(クリームパン) 500円
「京都水族館」で人気者のオオサンショウウオ。パン生地は、全体的にふわふわとやわらかい食感です。胴体の模様を表現するべく、生地にはカカオが練り込まれています。また、カスタードクリームで背びれが描かれており、長いしっぽのアクセントになっています。丸みある手足は、まんまるに成形されたパン生地で表現されています。
生地はビターな甘さで、頭の部分にはカスタードクリームが入っています。カスタードクリームはなめらかな舌触りとあっさりとした味わいのため、甘い飲み物とも合いそうです。
・ミドリガメ(メロンパン) 440円
小さなお子さんが見ても「カメ」と分かりやすい色使いと、かわいいフォルムの「ミドリガメ」。食べる前からメロンパンの甘~い香りが漂います。甲羅はしっとりしつつ砂糖のじゃりじゃりとした食感のビス生地、手足と頭はふんわりとしたパン生地でできています。チョコレートの瞳はつややかで、実物のウルウルとした瞳を再現。目が合うと、食べるのがもったいない!という気持ちに駆られます。ホッと一息つくおやつ時間に食べたいような、しっかりとした甘さのメロンパンです。
「すいぞくパン」の人気の秘密とは?開発秘話を伺いました
それぞれにかわいさ、形や柄などの再現度の高さが光る「すいぞくパン」。実食することで、いきものに対する愛情がたっぷり詰まっていることが伝わってきました。
そんな「すいぞくパン」は一体どのようにして生まれたのでしょう?京都水族館・企画広報チームの住本麻美さんに、開発秘話をお聞きしました。
──まずは「すいぞくパン」について教えてください。
「すいぞくパン」は、いきものをかたどった京都水族館オリジナルのパンです。京都水族館の「かいじゅうカフェ」にて、開業当初の2012年より販売しています。これまで二度ほどラインアップをリニューアルし、現在で3代目。開業10周年を迎えた今年3月14日に今のデザインになりました。
「オオサンショウウオ」はクリームパン、「ミドリガメ」はメロンパンです。ファミリーやカップルをはじめ、幅広いお客様から“かわいい”と人気です。ご友人同士で一種類ずつ購入し、写真撮影を楽しまれているお客様がいらっしゃったり、そうした「すいぞくパン」の写真を見て“次に行ったときに食べたい”とSNS上で反響をいただいたりしています。
──「すいぞくパン」にするいきものは、どのように選ばれているのですか?
いきものは、京都水族館で展示しているものを中心にセレクトしています。「オオサンショウウオ」は京都水族館の見どころのひとつで、入館してすぐの「京の川」エリアに約20頭展示しています。
「カメ」を選んだ理由としては、私たちにとって身近ないきものであることです。なかでも、パンにしたときのかわいさから「ミドリガメ」に決めました。残念ながら「ミドリガメ」は当館で展示していないのですが、「ミナミイシガメ」を「山紫水明」エリアにて展示しています。
──「すいぞくパン」のモチーフになっているいきものの魅力について教えてください。
「オオサンショウウオ」は、夜行性のいきものです。日中は水槽のすみっこに何匹も集まってじっとしています。ときどき、息継ぎをするために水面から顔を出すのですが、そうした姿や息づかいを、訪れたお子さんたちなどを中心に楽しまれています。つぶらな瞳が魅力的で、パンにも表現しています。
3匹展示している「ミナミイシガメ」も、水槽のなかで積み重なるようにして過ごしている姿がとてもかわいらしいですね。こちらは、水槽の上にライトがあって温かいので、そこに集まるためにこのようにして過ごしているのではないかと思います。
──開発するうえで苦労した点や、こだわりはありますか?
実物に近いものにようになるよう試作を何度も繰り返し、形や柄など細部にまでこだわりました。例えば「オオサンショウウオ」の「すいぞくパン」2代目は、顔の形だけがパンになっていたのですが、3代目では全身をパンにすることにしました。さらに、体の模様を再現するためパン生地にはカカオを使用し、立体感を出すべく背中のひだをクリームで描いています。
味のバランスにもこだわっています。「オオサンショウウオ」は当初、色や柄を忠実に再現するため中にチョコレートクリームを使用することを考えていました。しかしそうすると、生地にカカオを練り込んでいるためにチョコ味が強くなりすぎてしまいます。そこで中身にはカスタードクリームを使い、生地のチョコ味を活かしつつ、クリームパンへと仕上げました。
──「すいぞくパン」の楽しみ方を教えてください。
館内には飲食可能エリアが数ヵ所あり、いずれもいきものを鑑賞しながら「すいぞくパン」をお召し上がりいただけます。「どのこが似ているかな?」、「この部分が似ている!」など、水族館にいるいきものたちの中から探していただきながら、「すいぞくパン」をお楽しみいただければと思います。
──最後に、京都水族館について案内をお願いします。
「京都水族館」最大の魅力は、水がきれいなことと、いきものとの距離の近さです。ひとつの水槽でも、さまざまな角度からいきものを鑑賞していただけるようになっています。京都の川や海を再現した「京の川」エリアと「京の海」大水槽、西日本最大級となる約30種5000匹のクラゲを展示する「クラゲワンダー」、京都の里山風景を再現した「京の里山」など、全10エリアで構成されています。
2020年に誕生した「クラゲワンダー」にある「京都クラゲ研究部」ブースは、通常バックヤードとなる場所をオープンスペースとして開設。飼育スタッフがごはんをあげる様子など、普段は見ることが出来なかったいきものの姿をこれまで以上に間近でお楽しみいただけます。京都ならではのいきものや自然を、ぜひ京都水族館でご体感ください。
悠々と泳ぐ魚たちの姿に癒される空間であることは言わずもがな。これから迎える夏休みシーズン、水族館のいきものの魅力たっぷりの「すいぞくパン」を目当てに、ぱんてな読者のみなさんも京都水族館へ訪れてみてはいかがでしょうか。
■かいじゅうカフェ
- 営業時間
- 10:00~16:00 ※曜日、時期により異なる。
■京都水族館
- 住所
- 京都市下京区観喜寺町35-1(梅小路公園内)
- 休館日
- なし(年中無休)※施設点検、気象状況などで臨時休業をする場合があります。
- 一般料金
- 大人(大学生含む)2200円、高校生1700円、中・小学生1100円、幼児(3歳以上)700円