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今注目のパン「ロブロ」とは?デンマーク伝統の味を実食してみました
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今注目のパン「ロブロ」とは?デンマーク伝統の味を実食してみました

辻 美穂
辻 美穂

近年、密かなブームとなりつつある「ロブロ」。デンマーク伝統のライ麦パンで、人気のパン屋さんや著名なオーナーシェフも注目しています。

ロブロとはいったいどんなパンなのでしょうか?街のパン屋さんやオンラインショップで購入し、実際に食べてみました。

※ロブロは2025年8月購入時点の情報です。商品や店舗営業等に関する最新情報は、公式サイトやSNSでご確認ください。

「ロブロ」とは、1000年も前から食べられてきたデンマーク伝統のライ麦パン

「ロブロ」(RUGBRØD)は、日常からハレの日まで、古くからさまざまなシーンで食べられてきた、デンマーク伝統のライ麦パンです。デンマーク語で「RUG(ロ)」はライ麦、「BRØD(ブロ)」はパンを意味します。

ライ麦全粒粉をライサワー種で発酵させて焼き上げており、基本的な作り方が確立したのは11世紀ごろ。実に1000年もの歴史があるパンです。もともとは各家庭で作られていましたが、13世紀ごろからパン職人が作るようになり、19世紀ごろには工場でも作られるように。それにともなってパンの形は「なまこ型」から、生産効率のよい「長方形型」へと変化していったそうです。

健康意識が高まった現在では、マイクロベーカリーのこだわり商品や、ロブロを使ったカフェメニューが人気となっているとともに、自家製ロブロが再び注目を集めているそうです。

「ロブロ」は、まろやかな酸味ともっちりしっとり食感が特徴

ライ麦をしっかり感じる粗めのクラムはもっちりしっとりしていて、酸味はまろやか。素朴ながら、深い味わいが楽しめるのが特徴です。

デンマークでは1日のうち、1~2回はロブロを食べるのだそう。朝食なら半熟卵や野菜と一緒に。週末にはロブロのお粥を食べることも。昼食はサンドイッチのお弁当、忙しい平日の夜は手軽に作れる「スモーブロ」、デザートにはミンチ状にしたロブロを使ったスイーツと、シーンに合わせたさまざまな形で食べられているそうです。

ロブロ

デンマークの人にとって「ロブロ」はソウルフード的なパン。外国で暮らしていると恋しくなってくるそうです。

「ロブロ」を買って、食べてみました(街のパン屋編)

ライ麦パンは好きでも、ロブロは食べたことがなかった筆者。街のパン屋さんとオンラインショップで、計3種類のロブロを購入し、実食してみました。さらに、ロブロと相性が良いという、バターやベリー系のジャム、はちみつをつけて食べてみました。

ロブロ

3つとも一般的なスーパーで購入。ジャムはロブロと好相性というカシスも入った「5種のベリー」(季節限定・アヲハタ)を選びました。

la boulangerie de harimaya(ラ・ブーランジェリー・ド・ハリマヤ)/福岡県北九州市

ハード系が充実している「la boulangerie de harimaya」のロブロは、ご飯に通じるようなもっちりしっとりで、やわらかなクラム。たっぷり入った砕きライ麦が食感のアクセントになるとともに、ライ麦の風味を豊かにしています。ほどよい酸味があり、噛みしめるとうま味がどんどん広がります。

ロブロ

「ロブロ」(1,300円)

■la boulangerie de harimaya

住所
福岡県北九州市若松区高須東3丁目13−1
営業時間
10:00 - 完売次第終了
定休日
水・木

マツパン/福岡県福岡市

食事系や惣菜系はもちろん、スイーツ系の商品も充実している「マツパン」。こちらのロブロは、上にオーツ麦をトッピングしたあめ色に光る焼き色と、香ばしい匂いが食欲をそそる一品です。

ロブロ

「ロブロ」(800円)

■マツパン

住所
福岡県福岡市中央区六本松4丁目5−23
営業時間
08:00 - 18:00
定休日
月・火

「ロブロ」を買って、食べてみました(オンラインショップ編)

アンデルセン

全国に店舗展開しているアンデルセンですが、ロブロである「ソフトカーネラグブロート」(「RUGBRØD」は“ラグブロート”とも読む)は、オンラインショップでしか販売していないパンです。

デンマークにある「アンデルセン」でも人気のロブロは、琥珀色の生地上部にごまをたっぷりまぶしたタイプ。早速実食してみます。

ロブロ

「ソフトカーネラグブロート」(1,058円/送料別)

冷凍で届くので、食べる前には3〜4時間ほど自然解凍が必要。中には、ひまわりの種など種子類がたっぷり。ほのかな酸味が感じられます。

■アンデルセン

公式ホームページ
https://www.andersen-group.jp/
オンラインショップ
https://www.andersen-net.jp/shop/default.aspx

塗ってのせるだけ!スモーブロ風オープンサンドを作ってみた

ロブロを活かしたレシピといえば、デンマーク伝統のオープンサンド「スモーブロ」。日本で一般的に入手しやすい食材で「スモークサラダチキンと野菜のスモーブロ風オープンサンド」を作ってみました。

ロブロ

材料は、①クリームチーズ(Kiri)②粒マスタード(ユーラス)③スモークサラダチキン(伊藤ハム)④イタリアンサラダ(キューピー)⑤イタリアンテバジルソース(キューピー)の5種類。今回購入したロブロ3種類とも、同じ材料で作っています。

ロブロ

数字の順番で組み立てています。

スモーブロの組み立ては、ロブロ、スモー(パンの上に塗るもの)、ボレ(メインの具)、ハーブの順になっています(今回はハーブの代わりにハーブソースを使用)。選んだ具はいずれも相性ぴったりでした!

生地がやわらかいロブロを使う場合は、具の重みにロブロが負けてしまい、べちゃっとしてしまう場合も。トーストしたロブロを使ってみるなど、使いたい食材に合わせて工夫するのがコツです。


デンマークの人々が古くから現代まで、多少変化しつつも食べつないできた「ロブロ」は、日本で生まれ育った筆者でもどこかホッとする滋味深い味わいでした。

最近は販売するパン屋さんが少しずつ増えてきていますので、お近くで見つけたら、ぜひ味わってみてください。

<参考文献>
ロブロの教科書(くらもとさちこ著/誠文堂新光社)

WRITER

辻 美穂

辻 美穂

とにかく食べること、飲むことが好きで、異業種から食の業界へ転職をとフードコーディネーターの学校へ。複数の調理現場でバイトしたあと、菓子とパンの会社で商品企画の仕事に就く。自社パンのおいしい食べ方をあれこれ試しているうちにパンの魅力にハマり、その後ライター活動を始めてからも、そして活動拠点を福岡に移した2013年以降も、仕事のついでに気になるパン屋へ立ち寄り、新たなパンとの出合いを求め続けている。最近気になるのは、自分の体重と屋根で勝手に居候するスズメたちのこと。

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