ボルドーやフランスの文化をパンと共に! 東京・御茶ノ水「パンとボルドーワイン レピック」
パンと合わせたい飲み物といえば、コーヒー、そしてワイン! ペアリングはパンシェルジュ検定2級の出題範囲でもあります。
東京・御茶ノ水にある「パンとボルドーワイン レピック」は、その名の通り、パンとワインのお店。
運営会社の代表、井田浩樹(いだひろき)さんに「パンとボルドーワイン レピック」でワインに合わせたいパン、ボルドーの人たちにとってのパンとワインについて伺いました。
ボルドーワインの専門商社がワインとパンのお店を開いたわけ
──「パンとボルドーワイン レピック」(以下「パンレピ」)がオープンした背景を教えてください。
運営している「アストル」は、ボルドーワインに特化したインポーター、つまり輸入商社です。個人のお客様に対してボルドーワインを直接広めたいと考えて、2016年からワインバーも経営しています。
「アストル」では、ボルドーやフランスの文化を伝えることも大切にしています。ご存知の通り、パンはフランスの食文化に欠かせないものです。
2号店であるこのお店を2023年10月にリニューアルするにあたって、フランスのパンを扱うブーランジュリーとしての顔を持たせることにしました。
──お店の奥にコンベクションオーブンがあるんですね。
焼きたてのパンのおいしさをこの店から発信したいと考えました。でもパン製造に必要なミキサーやシーターなどを置くスペースはなかったので、クロワッサンやパンオショコラなどは成形後に冷凍したものを仕入れています。店内のホイロで発酵させ、コンベクションオーブンで焼き上げるので、焼きたてを提供できます。
ハード系のパンは、根津にある「レジニシエ」から焼成したものを毎日仕入れています。実は「レジニシエ」は、私が「アストル」とは別に経営しているお店なんです。
さきほどクロワッサンは、成形後に冷凍した状態のものを「パンレピ」で発酵、焼成していると言いましたが、こちらも「レジニシエ」から運んでいます。
ワインにぴったり。「パン アペリティフ」シリーズとタルティーヌ
──クロワッサン以外もほぼ焼き立てなんですね。「レジニシエ」から仕入れるパンは、ワインに合ったものが選ばれているのですか?
「レジニシエ」では、シェフが“おつまみパン”という意味の「パン アペリティフ」というシリーズを作っています。そのうち「フーガス・オー・オリーブ」「オニオン・フロマージュ」「パン・ア・ラ・トマト」など5種類ほどを仕入れています。
バゲットを使ったタルティーヌもワインと合います。やはり「パンレピ」の調理担当者が手掛けていて、オープンサンドとしてランチにも人気です。
──タルティーヌは色も鮮やかで、おいしそうです。フランスの人たちもよく食べているんですか?
タルティーヌは家庭料理なので、フランスではブランジュリーにはほとんど売っていないんですよ。
各家庭で前日に余ったパンと、冷蔵庫に入っているものを合わせて食べています。バターやジャムをのせただけでもタルティーヌと呼ばれます。
タルティーヌはまだあまり知られていませんが、パンを楽しむ方法として日本でももっと食べられるようになってほしいと思っています。「パンレピ」では今後季節感のある素材を使ったタルティーヌも提供していく予定です。
他にもクロワッサンやバゲットを使ったサンドイッチも、ランチタイムに人気です。ワインにも合わせてもらいたいメニューです。
ワインの専門家が味わってほしいと薦めるボルドー産の白ワイン
──パンやサンドイッチとのペアリングにどんなワインがおすすめでしょうか?
ぜひボルドーの白ワインを試してみてください。ボルドーの白は香りが華やか。ハーブや柑橘系の香りを特徴とするものが多いです。ぶどうはソーヴィニョン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル、ソーヴィニョン・グリなどの4品種が主で、それぞれの作り手がブレンドしています。
──ボルドーワインというと高級な赤ワインという印象を持っていましたが、華やかな白ワインもあるんですね。
ボルドーワインといえば、重めの赤ワインで、値段も高いというイメージが強いかもしれません。ボルドーで作られている約7割が赤ワインで、これまで日本に輸入されてきたボルドーワインも赤ワインが主だからです。
ところが現地では、白ワインをカジュアルに、がっとボトルを掴んでグラスに注いでは飲んでいる姿をよく見かけます。「パンレピ」でも赤ワインだけではなく、ボルドーの白ワインやスパークリングを複数用意しているのでぜひ試してみてください。
──ワインの産地としてボルドー地方は有名ですが、他にはどんな特徴がある場所なのでしょうか?
フランスは六角形の形をしていると言われます。ボルドーはそのうち南西地方と呼ばれる場所にあって、街中から大西洋まで車で40分ほど。当然シーフードをたくさん食べながら、一緒に白ワインを飲んでいるわけです。
ピレネー山脈も近く、美食の街として知られるバスク地方との間には大きな森もあって、ジビエやキノコなども手に入りやすい土地です。
フランス料理には珍しく、素材を生かした薪火焼きなどがよく食べられていることもぜひ知っていただきたいと思います。
ワインとパンとチーズ≒ご飯と味噌汁と漬物? 基本の食文化こそ本物を
──ボルドーのみなさんも、毎日パンを買いに行く人が多いのでしょうか? フランスの人たちは、朝食用のパンは毎朝買いに行くと聞いたことがあります。
もちろんです。それぞれ近所に行きつけのパン屋さんがあって、毎日通っています。私も滞在中に毎日のように行くパン屋がありますよ。
フランスの食文化の基本は、ワインとパンとチーズです。日本のご飯と味噌汁と漬物に似ていると思います。そういう基本的な食品こそ、上質なものを選ぶと食生活が豊かになると思います。
──高級なワインにはなかなか手が出ませんが……。
「アストル」で扱うワインは、もちろん有名シャトーの高級品もありますが、小売価格で1本1,500円というワインもあります。全国のデパートやワインショップ、都内の高級スーパーなどでもお取り扱い頂いてます。「パンレピ」ではグラス1杯800円から。ぜひパンと一緒に「パン・アペリティフ」を気軽に楽しんでいただきたいです。
パンとワインの相性がいいことはご存知の通り。ところが、有名産地のフランスワインとなると高いハードルを感じてしまいそう。「パンとボルドーワイン レピック」はそのハードルを飛び越えることができそうな気軽なお店です。その背景にはボルドーの食文化を愛する人たちの思いがありました。
■ パンとボルドーワイン レピック
- 住所
- 東京都千代田区神田小川町3-20
- 電話番号
- 070-3236-2020
- 営業時間
- パンの販売 11:30〜15:00 18:00〜(売り切れ次第終了)バー 12:00〜15:00 18:00〜23:00
- 定休日
- 土日祝 不定休あり
- https://www.instagram.com/pain_lepi/