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オンラインパン工房見学 『ペニーレイン』をレポート!
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オンラインパン工房見学 『ペニーレイン』をレポート!

辻 美穂
辻 美穂

パンを食べながら参加!『ペニーレイン』でのオンライン工房見学会

“パン屋さんの工房を覗いてみたい”そんなパン好きさんたちの欲望を満たすべく、去る6月2日に「ぱんてな」で初の、「オンラインパン工房見学会」を開催しました。

工房を見学させていただいたのは、あの「ブルーベリーブレッド」で知られる『ペニーレイン』、今年7月に10周年を迎える鶴田店です。当日30名の参加者は、それぞれの場所で、事前に届いた特典のパンをいただきながら、工房内やパン作りの様子などをZOOM動画配信で見学しました。今回は、その様子に密着しました!

 

企画の概要はこちら

「とちおとめブレッド」の坪山シェフ登場!パンの説明&店内めぐりがスタート

イベント開始の時間になり、まず私達をリモートで出迎えてくれたのは、統括シェフの坪山稔和さん。『ペニーレイン』5店舗すべてで、スタッフにパンの製造方法を指導している方です。パンシェルジュ×JA全農とちぎのコラボ商品「とちおとめブレッド」開発でも、全面協力してくださっていましたね。

参加者には事前にパンのお届けが!

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手前の4種が、今回イベント参加者が受け取ったパン。

今回、参加者には前もって、お店で人気のパン3種が届いていました。

【今回届いたパン】
ブルーベリーブレッド
ブルーベリーを練り込んだ生地でブルーベリージャムをたっぷり巻き込んだ人気商品
チーズクッペ
フランスパンの生地にダイスチーズがたっぷり!長く愛されている看板商品のひとつ
クロワッサン
発酵バターを折り込み、風味豊かでサクサク!

それぞれのパンを、ひとつひとつ手にとって説明してくれる坪山シェフ。このあとの工房見学では、「ブルーベリーブレッド」の製造過程も見せていただけるそうです。
さらに“好きな味を選んで欲しい”と、試食用のライ麦パンも3種類同梱されていました。これは、それぞれ違う酵母や組み合わせで作ったもので、後でアンケートが行われるといいます。パンを食べながら、それを作ったシェフから直接説明してもらえる機会は、なかなかないもの。パン好きにとっては貴重でありがたい体験ですね。

どれも食べてみたい!シェフがお店で人気のパンを紹介

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次に、『ペニーレイン』の主な商品の紹介コーナーです。「ブルーベリーブレッド」のほか、「よもぎあんぱん」「ショコラボール」、そしてオーナーが好きというビートルズのメンバーからネーミングした「リンゴスター」など、おいしそうなパンが次々と画面に登場します。
「ショコラボール大好き!」「全部食べたい!」などなど、参加のみなさんのコメントも続々。見学会が徐々に盛り上がってきました~!

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鶴田店オープン3日前に坪山シェフが開発した人気商品「パニーニ」や、見た目もコロッケそっくり「コロッケパン」など、ユニークな商品もたくさん!

参加者の皆さんとパンを片手に「ハイ、チーズ!」

ここで、参加者のみなさんと記念撮影。参加者はそれぞれ、試食のパンを持って「ハイ、チーズ!」。リモートではありますが、“これからみんなで工房見学!”そんな雰囲気になってきました。みなさん、とってもいい笑顔です!

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店内には常時100種類以上のパンをはじめ、焼き菓子やジャムやはちみつなども並びます。

そして次は、工房見学へ向かう間、カメラとともに、店内をぐるりとめぐります。
その先には、スイーツ系、惣菜系など、種類豊富なパンが並ぶベーカリースペースが。

ペニーレイン,見学

「ブルーベリーブレッド」も、かわいいぐるぐるが見えるように陳列されています。

焼きたてパンのコーナーや、食事パンのコーナーを通り過ぎたら、いよいよ工房内へ潜入!
『ペニーレイン鶴田店』の工房は、どんな感じなのでしょうか?

パンづくりをしながらシェフが解説!質問飛び交う工房見学

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“ジャムがたっぷり!”と驚きの声が多数。かわいい「ぐるぐる」のため、130gのジャムを均一に塗るのがポイントだそうです。

カメラが工房へ入ると、再び坪山シェフが案内役として登場しました。
「まずは皆さんにお届けしたブルーベリーブレッドを成型していきます。機械で生地を伸ばして、そこにジャムを塗っていきます」と、シェフが解説しながら次々成型していきます。
その間にも、「ジャムは何グラム入っているんですか?」「ジャムを絞る量の感覚はすぐに覚えられるものですか?」などなど、次々投げかけられる質問にも手を止めることなく、答えていく坪山シェフ。

鮮やかな手つきで次々と成型する様子に、「ぐるぐるがきれい」「もはや芸術!」と参加者も絶賛。
会話しながらも素早く美しく仕上げるというプロの技を、まずは堪能しました。

ハード系パンの「切込み技」に魅了!

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パンを窯へ入れるための道具「スリップピール」にのせてからクープ開始。

次はハード系パンにクープ(切込み)を入れる作業を見学です。成型後、発酵させた生地は、窯に入れる直前に切込みを入れていきます。
「クープは、パンによって切込みの本数を変えています。クープはこういうカミソリを使います。切込みを入れたら、切った部分がなじまないうちに、すぐに焼かないと駄目ですね」と、シェフ。ここでも参加者の質問に答えてくれました。

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パン屋さんで一般的に使用される、替刃式のクープナイフ。角を使うので、入れ替えながら4か所使ったら、新しい刃と交換するそうです。

そして、次にベーコン・エピ。ベーコン入りの生地をはさみで交互にカットしながら、名前の由来でもある「麦の穂」の形にしていきます。

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「互い違いにならない時もあるので、実は苦手(笑)」と言いつつも、はさみひとつで美しく仕上げる坪山シェフ。プロの技に、参加者も魅了されていました。

工房内の機器や原料なども紹介

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6段あるスチームコンベクションオーブン。毎日16時頃までフル稼働でパンを焼き上げます。

その後も坪山シェフは、工房内、粉の計量部屋と移動しながら、カメラに映る機器について解説してくれました。

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生地をこねるミキサーや、使用している小麦粉のメーカーまで教えていただきました。

工房内をいろいろ回る間も、参加者からの質問は途切れません!「作業を開始する時間は?」「1日にこねる生地の量は?」「どうやって新商品を考えているのか?」などパンづくりに関することから、「パン以外では何が好きですか?」というパンづくりとは関係ない質問まで(ちなみにラーメンが好きだそう。やっぱり小麦系がお好み……?)、坪山シェフはさまざまな作業を行いながらもテンポよく答え、参加者を楽しませてくれました。

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試作品の生地をリズミカルにこねながら、質問に答えるシェフ。プロってやっぱりすごい!

途中、パンを窯からテキパキ取り出すベテランスタッフがいると思いきや、実は今年の新入社員だったと聞いて、みんなが驚く場面も。新人さんから見た坪山シェフは「教える時はきちんと教えてくれるけど、面白い時は面白い」人だそう。

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入社して2カ月ほどとは思えないほど、目を見張る仕事ぶり。鶴田店には今年、製造3名、販売3名の計6名が入社し、それぞれのポジションで奮闘中です!

「1個のパンを全員で作っているので、チームワークが大事」と坪山シェフも語るように、新人からベテランまでイキイキ働ける環境づくりを心がけているからこそ、おいしいパンが次々生まれているのかも、そんなことを感じたシーンでした。

最後に、とちおとめブレッドを成型する過程を見学して、工房見学は終了しました。実際には、もっとさまざまなパンの成型の様子などを見せていただきました。ご紹介しきれなくてすみません。

ペニーレイン,見学

ピンク色の生地がかわいい「とちおとめブレッド」。シェフの説明を聞きながら製造過程を見ることで、ジャムの量や切込みを入れることなど、「ブルーベリーブレッド」との違いがよく分かりました。

どれが好き?ライ麦パンの試食アンケート投票!

ここで、“味を選んでほしい”とシェフからリクエストがあった、ライ麦パンの試食アンケートを実施しました。どれもライ麦10%配合ですが、使用する酵母や組み合わせが違います。試食の袋に貼ってあるシールの色などで識別できるようにしてありました。

青のシール:ルヴァンリキッドを使用した、酸味をしっかり感じるもの。
緑のシール:レーズン酵母をベースにしたカンパーニュ。
シールなし:ルヴァン種と柑橘系の種を半分ずつブレンド。ほどよい酸味のパン。

それでは投票スタート!ZOOMの投票の機能を使って、みなさんそれぞれ投票が始まりました。

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ZOOM画面で自分が“好きだ!”と思ったものを選びます。

そして、坪山シェフも気になる結果は?
ジャン!ということで、結果はレーズン酵母を使用した緑のシールがいちばんでした!

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「青のシール」は、“この酸味がクセになる”という方もいましたが、独特の酸味を苦手と感じた人が多かったよう。ほどよい酸味の「シールなし」が好みという意見もありましたが、最終的には“3つの中ではいちばん食べやすかった”「緑のシール」を選んだ方が多かったようです。

この結果を見た坪山シェフも、「緑のシールのパンを好まれる方が多いということですね。すごく参考になりました。この結果を今後のパンづくりに活かしたいと思います。ありがとうございました」とのことでした。

“酵母の違いで風味がこんなに違うことを実感した”と、食べ比べを楽しんでくれた参加者も多かったよう。今回の投票から、どのようなパンが販売されるのか、今後がとっても楽しみですね♪

坪山シェフに直接聞きたい!参加者の質問コーナー

ここまで、すでに坪山シェフを質問攻め(?)にしてきた見学会ですが、最後に坪山シェフと参加者が話せる質問コーナーがありました。

 

さまざまな質問がありましたが、シェフがいちばん考え込んでいたのが、“ペニーレインのパンでいちばん好きなものは?”という質問。「その質問、きましたか~」としばらく考えて、「フランス産の有機小麦を使ったパンですね。毎日ではありませんが、味見で食べていることもあって、今いちばんおいしいと思っているパンです」と答えてくださいました。

また、ご回答いただいた中で、今月開催予定の「パンのフェス2021初夏 in 横浜赤レンガ」に出店予定ということ、さらに“シェフ自身のパンレッスンはやっていますか?”との問いに、「ぱんてなさんでもやってみたいですね。僕でよろしければ(笑)」というご意向(?)も判明!「ぱんてな」でのパンレッスン、ぜひ実現してほしいです!

最後はシェフのあいさつで

あっという間に予定の1時間半近くとなり、最後に坪山シェフからごあいさつをいただきました。

「本日は皆さん、工場見学をしていただきまして、ありがとうございました。今回、こういう場を引受けさせていただいたのは、もっとパン屋さんというものが、みなさんの中で身近に感じてもらえればいいなと考えたからです。そのお店ではどんな人が作っているのか分かると、よりパン屋さんに行くのが楽しくなると思いますし、この人がいるからここへパンを買いに行きたいという方が、ひとりでも多くなればと思っております。

僕はペニーレインのいろいろな店舗でパンを作っていると思いますので、お越しになった時に見かけたら、声をかけてください。本日はありがとうございました」。

ここで今回のオンラインパン工房見学会は終了。名残惜しそうに手を振りながら退室していく方に、シェフも手を振っていてくれました。

参加者も大満足!あっという間の1時間半

密着して感じたのは、オンライン見学会だからこそ、全員がベストポジションで見学できたということ。もし、実際に工房内で20名以上が見学をすると、シェフから離れた位置では、解説のポイントがよく見えないなんてこと、ありがちですよね。終了後のアンケートでも、“シェフの説明に合わせて、工房内や製造の様子を分かりやすく映してもらえたので、想像以上に楽しかった”というようなコメントを多数いただきました。

また、お店のパンを食べながら工房見学できたことも、好評だったようです。確かに、シェフが説明しながら作る様子を見学しながら、それぞれの場所でじっくり味わうことができたので、そのパンに対するシェフの思いを、より実感することができました。さらに“遠くから参加できた”という喜びの声も。どちらも、オンライン見学会ならではの感想ですね。

“貴重な体験ができた”と、90%以上の参加者に「満足」と回答してもらえた「オンラインパン工房見学会」。すでに、“このお店の工房が見たい”というご要望もたくさんいただいています。次はどんなパン屋さんの工房が見れるのか、今から楽しみですね。

今回ご参加いただいた皆さん、お忙しいなかご案内してくださった『ペニーレイン』の坪山シェフ、そしてぱんてな編集部の皆さん、本当にお疲れさまでした!

WRITER

辻 美穂

辻 美穂

とにかく食べること、飲むことが好きで、異業種から食の業界へ転職をとフードコーディネーターの学校へ。複数の調理現場でバイトしたあと、菓子とパンの会社で商品企画の仕事に就く。自社パンのおいしい食べ方をあれこれ試しているうちにパンの魅力にハマり、その後ライター活動を始めてからも、そして活動拠点を福岡に移した2013年以降も、仕事のついでに気になるパン屋へ立ち寄り、新たなパンとの出合いを求め続けている。最近気になるのは、自分の体重と屋根で勝手に居候するスズメたちのこと。

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