

奥深いサワードウの世界を体験!初開催の Pancierge Salon vol.1レポート

7月1日、パンシェルジュが交流できる初のイベント「Pancierge Salon」が開催されました。記念すべき第一回はパンラボ主宰の池田浩明さんが登壇。パンのペアリングについて実践形式のトークイベントが行われましたのでレポートします。
夜の神保町に、お仕事終わりのパンシェルジュが集合!
会場はお菓子・料理などの教室が多数開催されている神保町のHappy cooking。人気店のプロが直々に教えてくれるレッスンはとてもおもしろく、筆者もよくお世話になっています。
本イベントは19:00から。芳醇な香りにつつまれたスタジオに、お腹がすいたパンシェルジュたちが集まってきました。隣の席同士でのお話が盛り上がるなど、すでにパン好きさんたちの輪が広がりつつあるのを感じます。
まずは池田さんからご挨拶。今回のテーマとなる「サワードウ」は、パンシェルジュにはぴったりのテーマ。「硬い、すっぱい」というイメージがあるかもしれないけれど、サワードウでしか味わえない感動がある。パンシェルジュのみなさんがサワードウを広めるのを手伝っていただきたい……というお話でした。
サワードウは、小麦のおいしさがダイレクト伝わるパン。小麦の産地、地域ごとで生まれる味の違いが楽しめる。職人技が出るパンだから、その職人技を味わうこともできるといいます。
語り手は、DEAN&DELUCAで商品開発を担当する高橋伴樹さんにバトンタッチ。じつはDEAN&DELUCAではサワードウのプロジェクト「NEW CLASSIC BREAD PROJECT」が立ち上がり、3月に新商品が発売されました。アメリカ西海岸の「タルティーン・ベーカリー」をはじめとする視察のようすや、ローカルの素材・生産者・シェフでカルチャーを育んでいく西海岸のものづくりの精神など、会場では実際の写真を見ながら解説いただきました。
DEAN&DELUCAは、「タルティーン・ベーカリー」の元ディレクター、ジェニファー・レイサムさんとタッグを組み、新たなるシグネチャーブレッドを2種完成させました。テーブルには、DEAN&DELUCAの「カントリーブレッド ホワイト」「カントリーブレッド ブラウン」が用意され、「パン屋塩見」のカンパーニュとともに比較試食しました。
「カントリーブレッド ホワイト」は、高橋さんいわく「ごはんみたいな食事パン」。北海道産の最強力粉「ゆめちから」と茨城県産強力粉「ゆめかおり」、全粒粉「ゆめかおり」をブレンド。小麦の甘さはもちろん、生地に少量練り込まれたもちきびの甘みも生きています。サワードウという言葉から「すっぱいイメージ」を持ってほしくない、という思いから酸味は控えめ。もっちりした食感で、そのままはもちろん、色々な食材と合わせやすいパンです。

カントリーブレッド ホワイト(ホール1080円、ハーフ 594円)
「カントリーブレッド ブラウン」は、北海道産小麦を石臼引きした全粒粉タイプの小麦粉「スムレラ」と、ライ麦、茨城県産「ゆめかおり」全粒粉のブレンド、さらにオーツ麦やアマニなど数種の雑穀を使用しています。その名のとおりブラウン色のパンで、ほのかに酸味があります。発酵したチーズやうまみの濃い肉など、味がはっきりとした食材とのペアリングにも向いています。パンそのものの味の骨格がしっかりしていて、食材を引き立てます。

「カントリーブレッド ブラウン」(ホール1296円、ハーフ702円)
開発エピソードで大変興味深かったのは、種継ぎをする頻度。12時間に1回という細かな頻度で行うことで、酸っぱすぎずフレッシュなうまみが保たれているようです。手間がかかるぶん、いい種に育つのだそう。
続いて、食材とのペアリングについて。DEAN&DELUCAで販売されている食材を中心に、4パターンの組み合わせを提案いただきました。ペアリングは「同調」「補填」「中和」というペアリングの手法をおさらいし、おまちかねの試食タイム。
会場ではオーブントースターではなく、フライパンで温めました。「砂糖が入っていないから、オーブントースターで焼いても固くてパサパサになっちゃう。サワードウはフライパンで焼くとよいんです」と池田さん。油をひかずに温めたフライパンにパンをのせて霧吹きをかけます。蓋をし、好みの具合まで温めると、外カリカリで中はふんわり。とてもおいしいです!
「カントリーブレッド ホワイト」のペアリング
1.「幸福豚のスモークハム」×「コンテ・フリュイテ」×「マスタード」
ジャンボンブールでおなじみの組み合わせ。「カントリーブレッド ホワイト」が、ハムとチーズの塩気をまとめてくれる「同調」の組み合わせです。会場のパンシェルジュさんからは、「ハムがとにかくおいしい」「とくにマスタードがおいしかった。味と香りがいい」という声がありました。
2.「イタリアンフルーツトマトのオイル漬け」×「ストラッチャテッラ」×「エキストラバージンオリーブオイル」×「クリスタルソルト」
ドライトマトの存在感がしっかりしていて、チーズのうまみが奥底に感じられ、塩がいいアクセント。パンの酸味がまったく気になりません。これは、「補填」の組み合わせです。パンシェルジュからも、「酸味甘味うまみ、いろんな味が揃っていて口の中にはいってきておいしかった」「ピザみたいな感じでばくばく食べられそうだった」とお話が。好評のドライトマト缶は、余ったオイルをパスタに活用できるという情報も!ぜひみなさんも試してみては。
「カントリーブレッド ブラウン」のペアリング
3.「クリームチーズ プレーン」×「アトランティックサーモンスモーク」×「ケッパー」×「ディルフレッシュ」
サーモンのくさみをチーズがおさえ、ディルのさわやかさ、ケッパーの刺激などがたまらない「中和」の組み合わせ。会場の意見は「サーモンが嫌いだったが、これはよい!サーモンのくさみなく、パンの酸味と合っている。新しい発見」「クリームチーズが軽くって。ホイップをされているのに驚き」などが寄せられました。クリームチーズはスタッフさんがホイップしてくださったのですが、空気と撹拌することでチーズのクセが抑えられ、まろやかになっていました。勉強になります。
4.「メープルシロップNO.2アンバー」×「ピーナッツバター」×「有塩バター」×「フレッシュブルーベリー」
普段であればそれぞれ単独で使われそうなスプレッド類に、フレッシュな果実をトッピングした「同調」のペアリング。甘さ、しょっぱさ、香ばしさ、フレッシュな酸味すべてが押し寄せてきて、幸せな気持ちに慣れます。この組み合わせが好きだったパンシェルジュは「ブラウンとメープルだけでも香ばしい。驚きと発見があった」「方向性がバラバラな組み合わせだと思っていたが、以外と厚みのある味わいになった」と絶賛でした。
みなさん、いろいろなペアリングでサワードウおいしさを研究しつつ、会話とともにパンを楽しまれていました。パンシェルジュの持つ知識を活かし、さらに知識がアップデートできるよい機会になったのではないかと、筆者自身も思います。サワードウのおいしさ、パンシェルジュが率先して広めていきたいですね。
今回からスタートしたPancierge salon。パンシェルジュさんたちがお手持ちの知識を共有しながら交流できる楽しいイベントでした。次回以降の開催も決まっていますので、みなさまぜひご応募ください!
申込はこちらから!
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「Pancierge Salon」
ー次回以降も豪華なラインナップー
Vol.2 ドウイスト 川原シェフ登壇 「湯種」に迫る!
Vol.3 パンシェルジュ 榎プロデューサー登壇 「最新関西パン情報」に迫る!@大阪
Vol.4 朝ドラ「あんぱん」監修 竹谷シェフ登壇 「パンづくりの極意」に迫る!
※本イベントは定員がございます。
※本イベントはパンシェルジュ検定合格者及び第31回パンシェルジュ検定申込者のみ参加可能です。
※先着順となっております。上限に達し次第申し込みを締め切ります。
WRITER

梶原 綾乃
お菓子やパンを作ったり、食べたりすることが好き。
ご当地パンの包装紙を収集中。「サラダパン」が大好き。