1. ホーム
  2. パンシェルジュ検定
  3. 基本のキ
  4. パンの材料を知ろう
パンの材料を知ろう
基本のキ

パンの材料を知ろう

辻 美穂
辻 美穂

パンシェルジュを目指すために学ぶ基本的な知識を、写真とともにわかりやすく紹介する『パンシェルジュ 基本のキ』。第4回はパンの材料について紹介します。

パンを作るための基本の主材料から、パンの風味や食感を演出する副材料、味も見た目も華やかにするトッピングまで、パンづくりで使用する材料にはさまざまなものがあります。これからパンづくりに挑戦したい人だけでなく、「私は食べる専門」という人も、パンの材料を知ることで、これまでよりもっとパンを楽しめるはずです。パンシェルジュ資格を取得するためにも知っておきたい「パンの材料」を、一緒に学びましょう。

【パンづくりに欠かせない4つの主原料】

パンづくりにはさまざまな材料を使いますが、主原料となるのは「小麦粉」「酵母」「砂糖」「塩」の4つです。これに適正な量の水を加えれば、基本的なパン生地を作ることができます。普段の料理でもよく使われるような、身近な素材が意外と多いもの。パンって、じつはとってもシンプルなんです。ここからは、それぞれがどんな役割をしているのか、まずは4つの主原料について詳しく紹介したいと思います。

小麦粉

小麦粉はパン作りにおいて主役の材料となりますが、それは「グルテン」のおかげです。
小麦粉は水を加えてこねると、弾力性と粘着性を持つ「グルテン」が作られて生地の状態になります。それを叩きつけるなど物理的な力を加えることで、伸縮性も出てきます。グルテンは、生地の中心温度が85~96℃に上がると固まり、パンの形をしっかりとさせ、冷えてもその形を保ちます。

においをすぐに吸収する小麦粉は、さまざまなフレーバーのパンを作るのにもぴったりですが、悪いにおいも吸収するので、保管する時には注意が必要です。

<作るパンに合わせて小麦粉以外も使用>

食パンには「強力粉」、フランスパンには「準強力粉」と、パンにはグルテンの粘りが強い小麦粉を使うことが多いですが、小麦粉以外の粉をブレンドすることもあります。たとえば、食物繊維や鉄分豊富な「ライ麦」や、米を製粉した「米粉」など。組み合わせによって食感や風味もまったく違ってきますので、自分が作りたいパンに合わせて、選びたいものです。
また、粉の選び方は、お店の個性を知るのにも重要なポイント。お店でパンを選ぶ時には、味や見た目だけではなく、粉も注目してみてくださいね。

酵母

パンを膨らませるのには欠かせない「酵母」。パン生地中の「糖分」を栄養分としていて、水分に触れることによって活動を開始します。パンづくりで使用する主な酵母は、「イースト」と「天然酵母」がありますが、どちらも温度にはデリケートなので、原則的に冷蔵で保管します。

<手軽に使える酵母などさまざまな種類あり>

「イースト」には、おもに生イーストやドライイーストなどがありますが、家庭では使いやすい「インスタントドライイースト」が一般的です。水分と合わせて予備発酵して使うか、直接他の材料と混ぜ合わせて使います。
一方で「天然酵母」は、ドライイーストに比べると発酵も手間もかかりますが、そのぶん味わい深いパンを作れることで人気です。全粒粉から菌を起こす「ルヴァン種」や、ライ麦パンに使われる「サワー種」がありますが、「ホシノ天然酵母」などのドライタイプの天然酵母も有名です。

砂糖

砂糖はパンに甘みをつけてくれるだけでなく、発酵する際に酵母の栄養源になります。また、保湿性があるので、パンをしっとりやわらかく保つことができ、砂糖から生成されるキャラメルが、こんがりとした焼き色をつけるのにも一役買っています。
基本的には上白糖を使用しますが、作るパンによって種類を変えることも。小麦粉の5%が適量で、20%を超えると酵母の活動を抑制してしまうので注意が必要です。

塩はパンに風味を与えて味を調えるほか、人知れず重要な役割をしている“縁の下の力持ち”ポジションです。
酵母の活動を遅らせる働きを持つため、生地の発酵しすぎや、べたつきを防ぎます。また、グルテンを適度に引き締める働きもあるため、生地は弾力性があり、内層も白く、すだちも細やかになります。ほかにも、雑菌の繁殖を防いでくれる、焼き色をよくするなど、侮れない存在です。

【よりリッチに深みを持たせる、パンの副原料】

「小麦粉」「酵母」「砂糖」「塩」、これに水を加えれば、シンプルなパンを作ることはできますが、時にはよりリッチで深みのあるパンを食べたいものです。そういったパンに仕上げるためには、「油脂」や「乳製品」、「卵」、そして「ドライフルーツ」や「ナッツ」といった「副原料」が必要になります。そこで、それぞれどういった役割があるのか次に紹介します。

油脂

クロワッサンやデニッシュなどには「バター」、菓子パンなどには「マーガリン」、クセがないので幅広く使われる「ショートニング」のほか、ラードやサラダオイル、オリーブオイルなど、パンの種類によって使い分けられる油脂。サクサク感の演出や風味をよくする材料ですが、生地の伸縮性よくして成型しやすくすることや、クラムとクラフトをやわらかく仕上げること、水分の蒸発を防ぐことでパンの老化を遅らせるなどの役割もする材料です。

乳製品

「生乳」や「牛乳」のほか「スキムミルク」などの乳製品を使うと、風味だけでなく「タンパク質」など増すので栄養価がアップ!表面をキャラメル(カラメル)化してよい焼き色にしてくれる「乳糖」が含まれているのもポイントです。また、乳糖と脂肪分が生地をゆるめて、クラムのきめを均一にする役割も。しっとりリッチなパンに仕上げたい時には、ぜひ使いたいですね。

卵も風味や食感をアップする副原料のひとつ。良質なタンパク質をはじめ、ビタミンAや鉄、カルシウムなども豊富に含まれているので、パン生地に加えれば栄養価が強化されます。さらに、クラストはこんがり、クラムもやさしい黄色になるなど、食欲をそそる色に焼き上がるのも特徴です。また、卵黄はツヤ出しとして、バターロールなどの仕上げにも使われています。

その他の材料

パンをより華やかに演出し、バリエーションを豊富にするのが、トッピングや食感や香りのアクセントとなる材料。レーズンやオレンジピールなどのドライフルーツや、クルミやアーモンドなどのナッツ、餡やチョコレートにチーズなど。生地に練り込んだり、トッピングやフィリングにしたりと、使い方もバリエーション豊富です。

今回はパン作りに欠かせない4つの主原料と、パンのバリエーションを広げる副原料をご紹介しました。世の中のパンには、今回紹介したもの以外にもさまざまな材料が使われています。意外な組み合わせを見つけるのも、パン作りをするうえでの醍醐味ではないでしょうか。それぞれの材料の役割については、パンシェルジュ資格の2級テキストでさらに詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

パンの作り方の基本を学べる!パンシェルジュ検定

現在、「第26回パンシェルジュ検定」の申込を受付しています!

<第26回パンシェルジュ検定実施概要>
■申込締切日:2023年2月2日(木)
■開催日:2023年3月5日(日)
■開催エリア:仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・福岡/オンライン
※受験会場は受験票に記載されます。

パンシェルジュ検定のお申し込みはこちら

WRITER

辻 美穂

辻 美穂

とにかく食べること、飲むことが好きで、異業種から食の業界へ転職をとフードコーディネーターの学校へ。複数の調理現場でバイトしたあと、菓子とパンの会社で商品企画の仕事に就く。自社パンのおいしい食べ方をあれこれ試しているうちにパンの魅力にハマり、その後ライター活動を始めてからも、そして活動拠点を福岡に移した2013年以降も、仕事のついでに気になるパン屋へ立ち寄り、新たなパンとの出合いを求め続けている。最近気になるのは、自分の体重と屋根で勝手に居候するスズメたちのこと。

SPECIAL