『北欧こじらせ日記』週末北欧部chikaさんの愛するシナモンロールと北欧のパン
学生時代に訪れたフィンランドに一目惚れをしたchikaさんは、「週末北欧部」というブログを立ち上げ、日本から北欧暮らしのヒントを発信してきました。夢は「フィンランドで寿司職人になる」こと。社会人として働きながらお寿司屋さんで修業ののち、今年春に念願の移住を果たしました。
10月には、著書『北欧こじらせ日記』を原案にした、同名のTVドラマも話題に。そんなchikaさんに、北欧のパンやシナモンロールについてメールインタビューを行いました。
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シナモンロールづくりで、日本にいながらフィンランドを感じる
──『北欧こじらせ日記』では、「シナモンロールを焼きたい!」と思い立ったchikaさんが、真夜中に突然シナモンロールを作り始めるシーンがありますね。北欧とシナモンロールがとてもお好きなんだなと思いました。
シナモンロールを焼き始めたきっかけは、大好きなフィンランドを日本でも感じたいと思ったことです。映画「かもめ食堂」にもシナモンロールを焼くシーンが出てきますが、初めてフィンランドを訪れた年には友達と一緒に映画のロケ地になったレストランでシナモンロールを食べました。そんな思い出も相まって「シナモンロールを焼くこと」は、私にとって日本にいながらフィンランドを感じられる大好きなルーティンのひとつになりました。
シナモンロールのレシピは、フィンランド人の友達に教えてもらった、発酵時間も短く作りやすいものです。シナモンロールを焼いている間の15分は、部屋中が“フィンランドの香り”に包まれて、小さな東京のキッチンがフィンランドに通じているような気持ちになりました。
フィンランド語でシナモンロールは「Korvapuusti(コルバプースティ)」といい、その意味は“パンチされた耳”。成形もその名の通り、ペチャリと潰した形が特徴的です。フィンランドのシナモンロールに欠かせないのは、シナモンとカルダモンの組み合わせ。甘すぎず、まるでスパイスパンのようなテイストが、コーヒーにとてもよく合います。
──フィンランドの味、私も楽しんでみたいです。日本でもシナモンロールを楽しめるおすすめのお店はありますか?
フィンランドの国民的コーヒーショップに「ロバーツコーヒー(ROBERT’S COFFEE)」というお店があるのですが、その店舗が日本にもあります。私も、北欧の生活をテーマにした複合施設「メッツァビレッジ」にあるロバーツコーヒーで、フィンランドコーヒーとシナモンロールを買って湖畔で食べるのがお気に入りの時間でした。
──日本にいながら、湖畔でコーヒーとシナモンロールを食べられるなんて、とても贅沢ですね。フィンランドで食べられている、シナモンロール以外のパンについても教えていただけませんか?
フィンランドの主食パンは、ライ麦ベースで色は黒く、酸味が強いハードなパンが多いのが特徴です。スーパーでも黒いパンコーナーが一面にあり、多くの人が朝ごはん用に購入しています。チーズや野菜と一緒に、オープンサンドにして食べるのが一般的です。
いっぽうで、パン屋さんを覗いてみると、菓子パンやデニッシュ生地のパンが多く並んでいます。フィンランドは国民1人当たりのコーヒー消費量が世界一になったこともあり、日本と比べると「お惣菜パン」は少なく、そのぶんコーヒーのお供になるパンが人気のようです。
──コーヒーによく合うラインナップが特徴なのですね。chikaさんのおすすめは、どんなベーカリーのどんなパンでしょうか。
トーベ・ヤンソンも愛した「Cafe Ekberg 1852」
「Cafe Ekberg 1852(エクベリ)」は、ヘルシンキ最古のカフェで、ケーキや菓子パンがズラリと並ぶお店です。ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンも愛したとされるこのお店では、定番のシナモンロールはもちろん、季節に合わせたパンも楽しむことができます。国産リンゴがおいしい時期には、リンゴのデニッシュが店頭に並んでいました。夏の風物詩「ザリガニパーティ」の時期には、「ザリガニパン」もお目見えします。一年を通じていろんなパンに出会えるお店です。
ここのアーモンドクロワッサンは、友達に勧めてもらってハマり、大好きになりました。ザックリとした生地に、甘いシュガークリームがコーヒーにとっても合います。
クロワッサン&コーヒーが絶品「Layers」
今年の10月にオープンしたばかりのクロワッサンのお店「Layers(レイヤーズ)」も、おすすめです。何人もの友達から紹介されて、最近行ってきました。私が働いているレストランのグルメなシェフからも「チカ、あのお店には必ず行った方がいい!フィンランドでは珍しく行列もできているけど、その価値があるよ。あと、コーヒーも絶品なんだ!」と力説されました。やっぱりフィンランドの人は、コーヒーが大好きなのだな……とも感じました。
──グルメなシェフも太鼓判を押すくらい、素敵なお店なのだろうなと思いました。最後に、北欧の暮らしの近況について少し教えてください!
今年の春から念願叶ってヘルシンキでの暮らしをスタートさせ、旅で訪れていた場所が「生活圏内になる」という不思議な感覚を今も噛み締めながら日々暮らしています。まだまだ知らないお店や文化があるので、これから自分の生活のペースの中で新しい発見を楽しんでいきたいと思います。
著書の中では、フィンランドを好きになったきっかけから、好きが高じて「フィンランドで住みたい」という夢を叶えるために寿司職人になるまでのストーリーを綴っています。何か夢中になることがある人、または見つけたい人に「こんな道もあるんだ」と楽しんでいただけたら嬉しいです。
週末北欧部chikaさん
北欧好きをこじらせてしまった会社員。 フィンランドが好き過ぎて12年以上通い続け、ディープな楽しみ方を味わいつくした自他ともに認めるフィンランドオタク。会社員生活のかたわら寿司職人の修業を始め、2022年春に移住。