パン知識が商談に役立ちました! 多田尚弘さん(株式会社ダイヤ)
多田尚弘さん(株式会社ダイヤ)
株式会社ダイヤ 執行役員 営業部 部長。“従業員の幸せの実現と地域貢献ができる会社”となるために役立てたいと、経営学修士(MBA)取得を目指して夜間の大学院へ通い、自身のスキルアップにも努めている。多忙な日々ながら、新しいもの好きで、飲食問わず、気になる店を訪れることも。また、“休日は2人の子どもに遊んでもらっています”という、プライベートでは子煩悩なお父さん。
「株式会社ダイヤ」について教えてください。
「クックハウス」や「ダイヤ製パン」などの運営をしておりまして、現在、大阪を中心に直営店が17店舗、FC 店が6店舗あります。戦後の1946年に祖父が創業し、その後、父が継承しました。そして現在は、兄が代表取締役社長を務めております。
弊社は、直営店やFC店で販売するほとんどのパンを、本社併設の工場で製造しています。パンによって 約50種の配合生地を使い分けし、クリームパンのクリームもオリジナルのものを使うなど、おいしく食べていただくために職人が丁寧な製法で作っています。どれも自信を持っておすすめできるものばかりです。
また、パンを通じて地域に貢献したいと、子どもたちのためのパン工場見学や、学生を対象とした職場体験なども実施しています。
次に、多田さんご自身のパンヒストリーを教えてください。
べーカリーを経営する家でしたので、生まれた時からパンが身近にある生活でした。物心ついたころから、毎日パンを食べていたと思います。子どもの頃から好きだった弊社のパンは「あんフライ」。時代とともに材料やレシピは進化しているのですが、今でも大好きです。
大学卒業後は、父が“一度は外の会社も経験してほしい”という方針でしたので、3年ほど人材派遣紹介業の会社で営業職を経験してから、株式会社ダイヤに入社しました。現在は営業部の部長として、直営店の管理運営ほか、出店させていただいているショッピングセンターや百貨店などの担当者との商談も担当しています。
パンシェルジュ検定を受験された目的やきっかけを教えていただけますでしょうか。
生まれた時からパンが身近にあったので、“人よりも詳しい”なんて、自負していました。しかし、実際にパン業界で仕事を始めてから、パンに関する知識が足りないと感じる場面が多かったんです。
もちろん、小麦粉をこねて、発酵させて焼くぐらいは知っていましたが、何がどう作用してパンになる、という詳しいところまでは理解していなかったので、“どうしたらこうなるの?”って商談の時に聞かれても、“なんででしょうね”と、その場の雰囲気で乗りきってしまっていました。
しかし、商談先のみなさんもとても勉強されていますし、このままではダメだと。パンシェルジュ検定は大阪のパン組合で話題になっていたので、パンの知識を生かした商談ができるようになりたいと、受験を決めました。
──従業員のみなさんにも、パンシェルジュ資格試験を推進しているそうですね。
弊社では、研修プログラムを充実させることが長年の課題でしたが、中小企業ではなかなか難しくて。
そこで、「パンシェルジュ検定」を取得してパンの知識を深めてもらおうと。そして、合格者を支援することで、受験を促進しようと思いました。
最初は“受けてや!”と半ば強制的に受験してもらっていましたが、合格通知が届いたら“受かりました!”と、みんな嬉しそうで。合格者たちが“受験してよかった”と広めていったこともあり、これまで合計で30~40人が受けました。
仕事に役立つこともありますが、大人になってから、点数を付けられることってないじゃないですか。それも励みになったようです。
検定の勉強で得たパンの知識のなかで、ためになったことや新たに知ったことはありましたか?
3級、2級のパンの製法はもちろん、2級の「パンのマーケット」や「パンのトレンド」も、商談で役に立ちました。仕事がら、パン業界について話をする機会は多いのですが、知っているようで知らなかったことも結構ありました。
3級の「パンの歴史」にあった、パンの誕生は偶然の産物で“神からの贈り物”という部分も喜んで聞いてもらえますし、「パンの種類と分類」も、商談時の会話で役に立っています。
よくライ麦パンのことを聞かれるんですけど、そんな時に“ローゼンミッシュブロートね”と、名前を出しても“こいつ知ってるな”みたいに思われますよね(笑)。そのあと“これこれこういう意味です。また覚えておくと面白いと思いますよ”と付け加えると、さらに喜んでいただけます。
今後の目標や、新たにチャレンジしたいことはありますか?
大阪在住のパンシェルジュさんと商品開発をしたり、意見交換会を行い、自社製品の向上はもちろん、パン業界を盛り上げるために寄与できればと思っています。
弊社の人間だけで商品開発をしようとすると、これまでの経験や知識に縛られてしまいがちなのですが、パンシェルジュさんなら“いや、私はこういうのが食べたいんです”という意見を言ってくださるのではないかと。そのほうがニーズを知ることもできるし、売れるパンを生み出す確率が高いのではないかと思います。
ただ、せっかくいいパンを生み出しても、作り手がいないと意味がありません。いまパン職人のなり手が減ってきているのが課題です。“パンづくりをしたい”と思えるようなパンの魅力をもっと伝えていけるよう、私自身もさらにスキルアップしたいです。
全国のパンシェルジュたちや、これからパンシェルジュを目指す人たちにメッセージをお願いいたします。
パンが好きでも、自分にどの程度知識があるのかは、わからないものだと思うんです。パンシェルジュ検定は、パンに関する知識を幅広くに学べ、知識レベルを客観的に認められる検定です。テキストを極めれば、ほかのパンに関する資格に引けを取らないほど、プロフェッショナルになれるレベルがあると思うんです。
実際にパンの会社で働く人間がそう思うので、少しでもパンに興味がありましたら、パンシェルジュ検定の受験をおすすめします。きっと、今よりもっと、パンを楽しめるようになると思います。そして、弊社の商品開発にもご協力いただけると嬉しいです(笑)。
取得資格
パンシェルジュ2級
■株式会社 ダイヤ
- 所在地
- 大阪市生野区新今里2-13-8