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【Vol.3】いよいよ開発会議は最終回!全員が納得する「とちおとめブレッド」は完成するのか?
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【Vol.3】いよいよ開発会議は最終回!全員が納得する「とちおとめブレッド」は完成するのか?

野崎 さおり
野崎 さおり

おいしいパンへの情熱あふれるパンシェルジュたちが、人気ベーカリーとひとつのパンを作り上げる「パン開発プロジェクト」。「ベーカリー ペニーレイン」と栃木県の名産いちご「とちおとめ」を使って作る第2弾「とちおとめブレッド」の開発はいよいよ大詰めです。最終回の第3回会議で意見はまとまるでしょうか?

坪山シェフはわずか8日間で新バージョンにもチャレンジ

第2回開発会議が終わってから「ベーカリー ペニーレイン」の坪山稔和シェフはさらに試作を繰り返してくれました。実は第2回会議と第3回会議は、中8日というタイトなスケジュール。そのため第3回会議の直前に最後の試作品が開発メンバーに届けられました。前回同様、パンは2種類です。

まずは坪山シェフから試作品の説明です。第2回開発会議でアイデアが出たドライストロベリーが活用されました。ジャム1kgに対してダイス状のドライストロベリー200gを混ぜて、一晩おいてから使用。ジャムの水分がドライストロベリーに移って、ジャム側は粘度が上がり、ドライストロベリーは果肉を感じる食感に変化しました。坪山シェフも「よい粒感に仕上がったと思います」と自信を伺わせました。

このとちおとめジャムを巻き込んだシンプルな試作品と合わせて届いたのが、ピスタチオのダマンドクリームを上部にのせた試作品です。7本のクープ(切り込み)が入っています。最初クープなしで焼いてみたところ、上から押された空気の逃げ場がなくなり「恐ろしいほどの空洞ができた」と坪山シェフ。

「横からジャムがはみ出ている印象が薄れた」「見た目もいい」「ジャムだけの方にもクープを加えてみては?」と、開発メンバーもクープの効果に満足の様子です。

どちらの試作品についても「今まででいちばんおいしい」「焼かずに食べてもいい」と高評価。特に、巻きこんだとちおとめジャムが「いちご感を感じてびっくり」「粒感があがった」「ジャムというよりジュレのよう」とこちらも絶賛といっていいほどの反応です。

ピスタチオありについては「クリーミーさが加わった」「インパクトがある」「味に広がりが加わった」と好意的な意見も多い反面、「見た目がぐちゃっとしている」「ベタつきが気になる」という意見も出ました。

酸味と甘味の絶妙なバランス!「とちおとめ」のよさを前面に出したパンの方に決定!

メンバーがそれぞれの意見を話し合ったあと、決断のときが来ました。とちおとめジャムは極上の仕上がりなのは間違えない。ピスタチオありの試作品もとてもおいしく仕上がっている。しかし「とちおとめ」本来のおいしさを伝えることもこのプロジェクトの目的。だからシンプルにとちおとめジャムを「とちおとめ」入りの生地で巻き込んだ「とちおとめブレッド」を商品化して、たくさんの人に食べてもらいたい。そう、開発メンバーの意見がまとまりました。

第1回開発会議のときに「JA全農とちぎ」から届けられた「とちおとめ」を食べたメンバーは、そのおいしさに感動。「とちおとめ」本来のおいしさを味わえるパンを目指してきました。今回はその気持ちが反映された「とちおとめブレッド」ができたという自信が、開発メンバーに生まれたようです。

水分が多く、熱を加えると色味が変化するなど、繊細ないちご。その中でも酸味と甘さのバランスが絶妙な「とちおとめ」本来の味をパンと組み合わせるという難しい開発プロジェクトでした。開発に挑んだにシェフの情熱、開発メンバーのパンと「とちおとめ」への愛情とアイデアが形になって、酸味と甘さのバランスが絶妙な「とちおとめ」本来の味を、引き出すことができた納得の味に仕上がりました。

最後に「パンの生地が前回より生地がパサついているのはどうしてですか?」と坪山シェフに質問が投げられました。坪山シェフいわく「生地に巻き込んだとちおとめピューレの水分量がそのときどきで違うせい」なのだとか。同じように作っても、まったく同じには仕上がらないのがもの作りの難しいところです。この点について坪山シェフは「ちょっと考えてみます」とさらなる改良を約束してくれました。

開発メンバー絶賛!「とちおとめブレッド」は極上の仕上がり

そして数日後。「ベーカリー ペニーレイン」の坪山シェフから「とちおとめブレッド」完成品が開発メンバーに届けられました。第3回目の会議で「トップにクープを入れる」と「生地をしっとりさせる」というリクエストも応えられています。しっとり感を出すために、クリームチーズを練り込んだり、生クリームの量を増やしたりと、さらに試作をしたというから驚きです。最終的には生クリームの量を増やしてしっとり感を向上しました。

クープの隙間からとちおとめジャムの色が見える、見た目にも工夫のある「とちおとめブレッド」は、生地もほんのりピンク色。濃厚かつ風味豊かに仕上がったとちおとめジャムのおいしさも、存分に味わえます。栃木の名産「とちおとめ」のおいしさと、地元の有名ベーカリー「ベーカリー ペニーレイン」坪山シェフの技術と熱意、そしてパンシェルジュのパン愛が詰まった「とちおとめブレッド」。期間限定の発売となります。ぜひ味わってみてくださいね。

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【Vol.2】ゴールはどこに?またしても混迷!「とちおとめブレッド」第2回開発会議 はこちら

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野崎 さおり

野崎 さおり

ライター。2017年パンシェルジュ検定2級合格。カンパーニュなどのハード系とクロワッサンが好き。旅の目的にはパン屋さん巡りとローカルフードの実食を必ず入れ、旅が「パンの仕入れ」になっていると揶揄されることもしばしば。早起きが苦手なのがパン好きとしての最大の弱点。

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