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【Vol.2】国産食材だけで作る究極のシュトーレン。初めての試作を「いただきます!」
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【Vol.2】国産食材だけで作る究極のシュトーレン。初めての試作を「いただきます!」

野崎 さおり
野崎 さおり

パンシェルジュを対象にプロジェクトメンバーを募った「究極のパン開発プロジェクト第1弾 シュトーレン開発」。第1回ミーティングの熱い話し合いをもとに八芳園BLUE TREEの青木シェフが作った試作シュトーレンがプロジェクトメンバーに届きました。全員で試食して意見交換を行う第2回ミーティングは、どのような議論が取り交わされたのでしょうか?

栗のペーストがたっぷり!国産材料にこだわったシュトーレン

第2回オンライン会議の開始までに10人のメンバーには、シュトーレンの試作品が届いています。「みなさんで一斉に食べましょう」とお願いしていました。

試作品のシュトーレンを前にメンバーがソワソワする中、青木シェフから説明がありました。「まず、国産材料にこだわるところからスタートしました。時間の関係で、今回は方向性をみなさんと共有するためのシュトーレンです」。

今回の試作では、石川県産の干し柿、徳島県産のさつまいも、高知県産の栗のほか、ゆず、りんご、くるみ、巨峰のレーズン、パイナップル、みかん、大豆とすべて国産の具材ばかりが使われています。小麦粉は北海道産、バターと塩は東京都の大島産と、基礎的な材料もすべて国産材料を使ったシュトーレンです。

第1回ミーティングで最大の課題だったのはマジパンです。メンバー間でも意見が分かれ、そもそも原料のアーモンドは日本で作られていないなど、青木シェフを悩ませました。そして青木シェフが出した答えは、栗のペーストをマジパン状にして中央に入れるというもの。それを聞いたメンバーからは「おぉっ」と小さなどよめきが上がりました。

バターの豊潤な香りと、ひと口ごとに10種類の具材と出会う贅沢さ

そしてお待ちかねの試食タイム。メンバーそれぞれがひと切れずつシュトーレンを持って「いただきます!」

パン好きはパンを食べる前に香りを嗅ぐ人が多いもの。最初に聞こえてきたのは「バターの香りがすごく豊か」という声でした。

「バターは表面に塗るのではなく、焼き上がったばかりのシュトーレンを溶かしたバターの中に浸しました」と青木シェフ。さらに香りの秘密はシロップにもあります。

「八芳園でドライにしたフルーツのミックスは、洋酒ではなくてノンアルコールの梅酒を使ったシロップに漬けてあります」とシロップについて青木シェフが説明すると、「だからクセがなくてやさしい味になっているのですね。子どもでも食べやすいのでは?」とメンバーも納得の様子。

そして見た目に関して「シュトーレンは表面を白くするものが多いですが、今回は、肥料や農薬を使わない自然栽培の原料で作った、茶色い砂糖を使いました。白くした方がいいですか?」と青木シェフが尋ねると、「口溶けのいいお砂糖ですね!」「素朴な色味とリッチな中身のギャップに感動します」と、好評の声が多数。変更なしで進めることになりました。

肝心の具材は、フルーツとナッツを含めて10種類あります。「10種類も具材が入っているのに、まとまっている」「具材がザクザク入っていて、食べる位置によって味わいが違うのが楽しい」「栗のペーストがおいしい。まるっと1本食べてしまいそう」「ゆずの爽やかさがいいですね」と、たっぷり入っている具材それぞれを楽しむ声が上がりました。

さらには「生地がしっとり系なので、よくあるシュトーレンのパサパサ感が苦手な人にもおすすめしたいです」という声も。それに対して、「やはり日本人はしっとりしたパンが好きな人が多いと思うので、しっとりに寄せました」と青木シェフ。シェフの作戦も成功のようです。

次回試作の課題は、食感のものたりなさと主役の存在感

複数のメンバーから再検討したいという意見が出たのは食感です。「りんごとさつまいもは、食感が似ていて区別がつかない」「くるみが入っているけれど、もっとたくさんナッツを入れて欲しい」「フルーツは大きめにゴロゴロ入っていて欲しい」「表面に大豆があると硬く感じる」と、さすが食にこだわりのあるメンバーたち。

「色々な具材が入っていて楽しいけれど、キャラ被りしている具材がある」「主役になる具材、推し具材を決めたらどうか」と具材の厳選につながる提案も出てきました。

そこで改めて主役にしたい具材、外したくない具材についてメンバー全員に尋ねました。
「栗がおいしいので、栗を主役にしては?」「ゆずの香りがいいので、外さないで欲しい。その代わり、似ているみかんはなくてもいいかもしれない」「柿は日本らしい果物。シュトーレンに入れるというのは他にないし、今回より大きくてもいい」という共通した意見が複数のメンバーから出てきました。栗とゆず、そして柿が今回のシュトーレンを代表する味になりそうです。

次回第3回の会議が最終回です。青木シェフは皆さんの意見を受けて、シュトーレンをどのように調整してきてくれるのでしょうか。

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【Vol.3】妥協なき食感の追求にドラマあり!究極のシュトーレン開発2度目の試食はこちら

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野崎 さおり

野崎 さおり

ライター。2017年パンシェルジュ検定2級合格。カンパーニュなどのハード系とクロワッサンが好き。旅の目的にはパン屋さん巡りとローカルフードの実食を必ず入れ、旅が「パンの仕入れ」になっていると揶揄されることもしばしば。早起きが苦手なのがパン好きとしての最大の弱点。

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