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お菓子研究家・SAWAKOさんのアメリカ滞在レポート〈1〉ロサンゼルスのベーカリー3選
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お菓子研究家・SAWAKOさんのアメリカ滞在レポート〈1〉ロサンゼルスのベーカリー3選

梶原 綾乃
梶原 綾乃

東京・池尻大橋のお菓子教室「Fait Beau Tokyo」のSAWAKOさんは現在アメリカに短期滞在中!ぱんてな読者に現地から最新パン情報を3ヶ月連続でお届けします。


こんにちは!菓子研究家のSAWAKOです。ただいま家族とロサンゼルスに3ヶ月程滞在中です。

こんな機会はめったにない!という事でロサンゼルス市内で食べ歩きをしながら、ぱんてな読者のみなさまに今のアメリカをシェアしてまいります。様々なカテゴリーのパンを載せていきますね。お楽しみに!

アメリカのトレンドの中心地・ロサンゼルスのベーカリー

さて、アメリカの食文化といえばどんな物をイメージしますか?甘くて高カロリー?量が多い?そんなところでしょうか。もちろん今もアメリカにはそんな側面もありますが、ロサンゼルスは言わずと知れたニューヨークに次ぐ第二の都市。アメリカのトレンドの中心と言っても過言ではありません。

日本のみなさんにも胸をはっておすすめ出来るお店がいくつもありますので、今回は特に私のお気に入りベーカリー3選をご紹介します。

リーン系のパンから北欧風のパンまで楽しめる「Clark Street」

まず私がおすすめしたいのは、2014年にハリウッドのアパートの一角でスタートした「Clark Street」。観光客にも便利なダウンタウンのグランドセントラルマーケットの一角にあります。

マーケットはアメリカらしい多国籍な料理が食べられる面白い場所で、観光のついでに立ち寄れるのもうれしいポイントです。

本格的なリーン系のパンが人気のお店ですが、オーナーシェフのご家族がスウェーデンにいらっしゃるそうで、北欧風のペイストリーも一緒に揃っているユニークなパン屋さんです。

私が訪れたのはお昼頃ですが、既にパンの種類がかなり少なくなっており人気の高さが伺えます。それでもこの日はお目当ての小ぶりなバゲットとスウェーデン風シナモンロールをゲット!おうちでゆっくりいただくことにしました。

しっかりと焼き上げたバゲットにはクラムがボコボコと入り、中はもっちり外は香ばしくカリッとした味わいです。しみじみと小麦の美味しさを感じるような仕上がり。一緒に添えたアメリカ産のオーガニックグラスフェッドバターがとてもよく合って、シンプルながら贅沢な時間となりました。

そして、スウェーデン風シナモンロール。私が好きなパンのひとつです。以前私が住んでいたロンドンでもかなり人気があり、日本よりもずっと浸透しているパンのひとつです。これまで色々と食べ比べをしてきましたが、こちらもとても本格的!

シナモンがふわっと香り、少し硬めの生地にシロップが染み込んでいて、柔らかいパンやモチっとしたものだけがおいしいわけではないと教えてくれるパンの代表ではないでしょうか。アメリカ伝統のアイシングたっぷりのシナモンロールとは全く別物ですよね。これがここロサンゼルスで受け入れられているのがまた面白いと思いませんか?

ちなみに、こちらの商品には全てアメリカ産のオーガニック小麦粉が使用されています。お店ではその小麦粉も販売しているので、興味がある方は日本に持ち帰ってパンづくりにチャレンジするのも楽しいかもしれませんね。

地産地消な隠れ家的ベーカリー「Gjusta」

次は、「Gjusta」です。ロサンゼルスのローカルの人たちにとても人気のヴェニスのエリアにあります。こちらはパン屋さんの他にもグローサリーの店舗、料理グッズを販売する店舗があり、レストランなども同じエリアで展開している今話題のお店です。

カウンター越しにパンをオーダー。私は店員さんがおすすめしてくれたベーグルとクロックマダムにしました。キッチンでは、ハムやスモークサーモンも注文を受けてからスライスしており、期待に胸がふくらみます。

テラスにあるイートイン席へ。運ばれてきたベーグルにはいくらがたっぷり!日本人としてはいくらとベーグルの組み合わせは正直な所一抹の不安を感じましたが、いただいてみるといくらは塩漬けされており、クリームチーズとディルとの相性が抜群でした。

日本では食パンを使用しているお店が多いクロックマダムですが、こちらはアメリカ定番のサワードウブレッドで食べごたえ抜群。切りたての自家製ハムとこれでもか!と乗っているチーズが贅沢な味わいでした。

とっても気に入ったのでフォカッチャとクロワッサンをお持ち帰り。フォカッチャは厚みがありふかふか。オリーブ、玉ねぎ、トマト、オレガノなどが乗っており、そのままでも十分楽しめる一品です。

クロワッサンはこちらの看板商品のバクラヴァクロワッサンです。日本ではあまり聞き慣れない「バクラヴァ」は、トルコやギリシャなどで食べられているピスタチオなどのナッツのペーストをパイで挟む伝統菓子です。クロワッサンをひと口かじると、ピスタチオの芳醇な香りが広がり、なんとも言えないおいしさ。食べたことがない新しい味わいでした。

こちらのお店は小麦粉はもちろん、その他の材料やカフェで使用している食材までほとんどが南カリフォルニアやアメリカ国内の厳選された生産者から購入しているそう。地産地消は、地域に貢献出来るのはもちろん、輸送の為のエネルギーを減らして環境に配慮出来るとして、ロサンゼルスの人達にはお店選びの大切なポイントとなっているようです。

クロワッサンが絶品!教会風の建物が美しい「Tartine Bakery」

最後は、2002年にカリフォルニアのサンフランシスコでスタートした「Tartine Bakery」です。2008年にはアメリカの食のオスカーと呼ばれる「ジェームス・ピアード・アワード」を受賞したアメリカの超有名ベーカリーのひとつ。私が持っていたアメリカのパンへのイメージをガラッと変えてくれたお店です。以前、サンフランシスコに行った際にも訪れましたが、ここLAにも沢山の店舗があります。今回はサンタモニカのエリアにある店舗に伺いました。

昔の教会のような建物をリノベーションした美しい外観と以前の雰囲気を思わせる内装が趣のある店舗です。

私のいち押しはクロワッサンです。とっても大きなクロワッサンですが、味は繊細でサクサク、バターのよい香りが楽しめます。バターというとフランスを連想するかもしれませんが、アメリカのバターは広大な土地で飼育しているグラスフェッドのものも多く、とってもおいしいです。

今回もお持ち帰りをゲット。大好きなクロワッサン、セイボリースコーン、カルダモンロールにしました。

セイボリースコーンはソーセージ、赤唐辛子、チーズの組み合わせ。赤唐辛子は目に見て分かるほど沢山入っていましたが癖になる不思議なおいしさがありました。

カルダモンロールはデニッシュ生地にカルダモンペーストが巻いてあり、ふわっとオレンジが香ります。このカルダモンとオレンジのコンビネーションが秀逸でした。

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さて、今回はロサンゼルスで今人気の3店舗をご紹介しました。みなさんのアメリカのイメージが少し変わったのではないでしょうか?

日本にはない組み合わせやアレンジが見られるのも、海外でのパン巡りの楽しさですよね。まだまだ海外旅行が気軽に出来ない方も多いと思いますので、この記事を通して少しでも旅行気分を味わっていただけていると嬉しいです。次回もお楽しみに!

■今回ご紹介したお店のURL

SAWAKO(Fait Beau Tokyo)

「ル・コルドン・ブルー東京校」を卒業し、渡英・渡仏。本場のシュガークラフト、カップケーキ、イギリス菓子、フランス菓子を習得。帰国後、 「お菓子教室Fait Beau Tokyo」を主宰。フランス菓子やカップケーキなどのレギュラーレッスンの他、メディアやイベントへの出演、撮影協力、レシピ提供などを行う。外国人旅行者へ英語で行う日本らしい洋菓子のレッスンJapanese Baking Master Courseも人気。

お菓子教室「Fait Beau Tokyo」のホームページはこちら

SAWAKO先生の著書『パリのかわいいお菓子づくり』(朝日出版社)はこちら

WRITER

梶原 綾乃

梶原 綾乃

編集者/ライター。
お菓子やパンを作ったり、食べたりすることが好き。
ご当地パンの包装紙を収集中。「サラダパン」が大好き。

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