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お菓子研究家・SAWAKOさんのアメリカ滞在レポート〈3〉ロサンゼルスで楽しむ多国籍のベーカリー
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お菓子研究家・SAWAKOさんのアメリカ滞在レポート〈3〉ロサンゼルスで楽しむ多国籍のベーカリー

梶原 綾乃
梶原 綾乃

東京・池尻大橋のお菓子教室「Fait Beau Tokyo」のSAWAKOさんは現在アメリカに短期滞在中!ぱんてな読者に現地から最新パン情報を3ヶ月連続でお届けする最終回です。


ロサンゼルスに来て感じた日本との違いは月並みですが、やはり国際色豊かだということ。実際に様々な人種の方が住んでおり、ダイバーシティといわれるアメリカの中でも特に多国籍な人たちが集まっているのがロサンゼルスです。

もちろんこれは食にも反映されます。レストランやカフェはもちろんの事、パン屋さんも日本にはない様々な国のものを簡単に見つけることができます。日本は世界有数の美食の国なので、様々な国の料理がありますが、パン屋さんとなるとフランス風、ドイツ風、日本風のお店がほとんどなのではないでしょうか?

ということで、今回はロサンゼルスで見つけた様々な国のパン屋さんを4つご紹介します。

イタリアとアルゼンチンの融合「Bianca」

まずは私がロサンゼルスでいちばん通っているお店からご紹介しましょう。こちらはカルバーシティというローカルに人気のエリアにある、イタリアとアルゼンチンに縁のあるベーカリー&レストランです。

フォカッチャ、パネトーネ、ピザといった定番のイタリアのパンから、アルゼンチンらしいドゥルセ・デ・レチェ(焦がし練乳)を使ったイタリア風コロネのカンノンチーニ、南米で親しまれているチュロス風のクロワッサン、アルゼンチン風の焼き菓子など面白い商品であふれています。

こちらのお店はパンのテイクアウトでもよく利用しますが、今回はイートインで人気のエンパナーダをいただくことに。エンパナーダはアルゼンチンをはじめ、南米で広く人気のあるペイストリーです。ロサンゼルスではエンパナーダはかなりの人気!専門店もいくつも見つけることができるほどです。

さっそく運ばれてきたエンパナーダの成形が何とも美しいこと!専門店などでは三日月形のものしか見たことがなく、こちらのお店ではパン職人さんがひとつひとつ丁寧に包んでいるのが想像できます。

肝心のお味はというと、生地はパイ生地というよりもピザ生地に近いような食感。もっちりとした生地を薄く伸ばして具材を包んでいるので、重すぎずサクッと食べられます。具材のおいしさが際立っていました。

Bianca

デザートにオーダーしたイタリアによくある硬めのプリンにも、ドゥルセ・デ・レチェが添えられていました。イタリアとアルゼンチンの融合を感じられる素敵なお店です。

カナダ・モントリオール風のベーグルが楽しめる「Courge bagle」

次にご紹介するのはベーグルのお店です。「ベーグルはアメリカのパンでしょ?」と思った方も多いのでは。実はこちらのお店はカナダのモントリオール風のベーグルのお店なんです。

私はロサンゼルスに来るまでこのベーグルの存在を知らなかったのですが、ニューヨークベーグルとはまた違うベーグルだということで、興味津々で伺いました。

ファーマーズマーケットからスタートしたこちらのお店は、今ではロサンゼルスのベーグル屋さんを代表する人気店です。

運ばれてきたベーグルはとっても繊細で美しい盛り付け。上に乗せる具材もローカルの物を厳選しているそうで、サーモンも手でひとつひとつスライスして乗せているというこだわりよう。

ぱんてな読者のみなさんはご存知かもしれませんが、ニューヨークベーグルは最後にモルトシロップを入れたお湯で茹でてから焼成します。それに対してモントリオールベーグルは、お湯に蜂蜜を入れて茹でるのが大きな特徴。食べたときにやさしい甘みが残ります。

また、生地に卵を入れるレシピが多いそうで、ボリュームがあり噛みごたえがあるニューヨークベーグルとは違い、もっちりとしながらも歯切れのよさがありました。

ニューヨークベーグルとは別物ですが、個人的にはモントリオールベーグルの方が気に入ってしまったほど、衝撃的なおいしさでした。
まだ日本にはほとんどないモントリオールベーグルですが、もしかしたらいつか流行る日が来るかも?間違いなく日本のみなさんも好きな味わいです。

メキシコ流の甘〜いパンが揃った「La Monarca Bakery&Cafe」

次にご紹介するのはメキシコのベーカリーです。ロサンゼルスにいくつも店舗がある人気店で、サンタモニカやハリウッドという観光客に人気のエリアにあるのも嬉しいポイント。店内に入るとショーケースには様々なメキシコの伝統的なパン、ケーキ、スパイスを使った焼き菓子が売られています。

私が訪問したときは、11月1日、2日に行われるメキシコのお祭り「死者の日」に向けた準備の真っ最中。映画でしか見たことのなかった文化ですが、メキシコでは一年で最も大切にされている行事だということで、実際に祭壇がお店にも置かれていました。

私は、メキシコ人の友人が好きだというパンデムエルトと、コンチャというメロンパンのようなパンをテイクアウトしました。

どちらもメキシコらしい甘いパンですが、パンデムエルトは歯切れのよい生地にオレンジとアニスの香りが口いっぱいに広がる上品な味わいです。コンチャは、外はサクッとしたクッキー生地で、パン生地はしっとりとしています。まさにメロンパン!メロンパンのルーツという説があるのも頷けます。

メキシコの食べ物は日本ではそれほど馴染みがないかもしれませんが、ロサンゼルスは地理的にもメキシコに近く、毎週火曜日はタコスやメキシカンを食べるtaco tuesdayという言葉があるほど、日常的なものです。

日本にいるときにはあまり食べた事がなかったメキシコの食べ物は、ロサンゼルスに来て新たに好きになったもののひとつです。

キューバのペイストリーやサンドイッチが魅力的「Polto's」

最後にご紹介するのは、ロサンゼルスで知らない人はいない超有名店です。こちらはキューバ人の方が2世代前に始めたパン屋さん。今ではロサンゼルスに多くの店舗を構えており、つい最近もカリフォルニアディズニーにオープンすることが発表されたばかりの勢いのあるお店です。

私のお菓子教室に通っていたアメリカ人の生徒さんたちからのオススメもあり、とっても楽しみにしていたお店のひとつでした。

店内にはキューバらしいケーキやパンが並びますが、こちらのシグネチャーはチーズロールというパイ生地にクリームチーズのフィリングを入れたペイストリー。
外にはたっぷりのお砂糖を乗せて焼き上げてありますが、甘すぎずいくつでも食べられるおいしさです。また、ペルーでは一般的なグァバを使用したペイストリーも人気です。

今回はランチにキューバサンドイッチをいただきました。
キューバサンドは、柔らかいバゲットのような食感のキューバパンに、ハム、ローストポーク、スイスチーズ、ピクルス、マスタードを挟んだサンドイッチです。

Polto's

私はこちらのお店でキューバサンド初体験!このおいしさに目覚めて、このあともキューバサンドを食べに何度もお店に通っています。

パンの表面にバターを塗りプレスしながら焼いているので、カリッとしていて香ばしく、たまらないおいしさです。キューバサンドを扱うお店は日本にはあまりないですが、パニーニ用のパンやソフトフランスなどで代用すればお家で作ることもできそうです。

さて、3ヶ月に渡ってお送りしてきましたアメリカ滞在記はいかがだったでしょうか。アメリカは様々な文化が混じり合う国なので、驚きや発見の連続です!まだまだ私たちの知らない食文化にあふれています。

この滞在記を通してみなさんが今のアメリカを感じていただけていれば嬉しいです。

■今回ご紹介したお店のURL

SAWAKO(Fait Beau Tokyo)

「ル・コルドン・ブルー東京校」を卒業し、渡英・渡仏。本場のシュガークラフト、カップケーキ、イギリス菓子、フランス菓子を習得。帰国後、 「お菓子教室Fait Beau Tokyo」を主宰。フランス菓子やカップケーキなどのレギュラーレッスンの他、メディアやイベントへの出演、撮影協力、レシピ提供などを行う。外国人旅行者へ英語で行う日本らしい洋菓子のレッスンJapanese Baking Master Courseも人気。

お菓子教室「Fait Beau Tokyo」のホームページはこちら

SAWAKO先生の著書『パリのかわいいお菓子づくり』(朝日出版社)はこちら

WRITER

梶原 綾乃

梶原 綾乃

編集者/ライター。
お菓子やパンを作ったり、食べたりすることが好き。
ご当地パンの包装紙を収集中。「サラダパン」が大好き。

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