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パンからシングルオリジンチョコレートを感じてほしい。「ダンデライオン・チョコレート」が作るパン
開発物語

パンからシングルオリジンチョコレートを感じてほしい。「ダンデライオン・チョコレート」が作るパン

野崎 さおり
野崎 さおり

カカオ豆からチョコレートを作るまでの工程を一貫して行うBean to Bar(ビーン・トゥ・バー)。アメリカのサンフランシスコで生まれ、2016年に日本にやってきた「ダンデライオン・チョコレート」もBean to Barチョコレートを日本に根付かせたブランドのひとつです。その「ダンデライオン・チョコレート」が通販限定で「パン詰め合わせ」を販売しています。東京・台東区にあるファクトリー&カフェ蔵前にお邪魔して、2人のシェフに誕生の背景を伺いました。

日常に寄り添ったものを届けたいと生まれた「パン詰め合わせ」

蔵前 ダンデライオン・チョコレート

2022年2月の「パン詰め合わせ」。配送は冷凍です。

──「ダンデライオン・チョコレート」でパンの通販はいつから始まったのでしょうか?

辻 舞さん(以下敬称略 辻)コロナ禍が始まって、外出がままならなかった2020年の春です。「ダンデライオン・チョコレート」としてなにか日常に寄り添ったものをお届けできないかなと、スタートしました。

2021年になって他の製品の製造が復活してから現在は、毎月第4木曜日から日曜日までの4日間に届くようにパンを製造しています。

森本 康志さん(以下敬称略 森本) 僕たちはペイストリー部門と呼ばれていて、メインとしてお菓子を作っています。チョコレートを作る人たちはチョコレートメーカーと呼ばれていて、別の人が担当しています。

──お菓子担当の方がパンも作ることになったんですね。

辻 私もそうですが、他のスタッフもパン屋で働いていた経験者がいるんです。お菓子屋さんでも折り込み生地でパンを扱うことはあるので、抵抗なくメニューに入りました。

──パンの詰め合わせには5種類のパンが入っていて、4種類は固定、もう1種類は月によって違うんですよね。

辻 最初にパンを始めた時は、9種類候補があったんです。その中から、よりチョコレートがメインで、好評だったものを4種類残して、月ごとの限定パンをひとつ作るようになりました。

「クイニーアマン」は元々サンフランシスコの「ダンデライオン・チョコレート」が作っていたレシピをベースに、あっさりと仕上げています。サンフランシスコでも、色々なペイストリーを作っていて、森本がサンフランシスコに行ったときに、「クイニーアマン」のレシピを持ち帰ってきました。

サンフランシスコの「クイニーアマン」のレシピで特徴的だと思ったのは、カカオニブの使い方です。カカオニブはカカオ豆を焙煎して、細かく砕いたものですが、そのカカオニブと砂糖を一緒に挽いて、ニブシュガーとして使っていたんです。まるでバニラシュガーみたいに。

このニブシュガーのアイデアを他のパンに生かしたのが、コッペパンです。少し塩けのある生地を使っていて、焼くときに切り込みを入れてパターをさして、そこにニブシュガーを振って焼成しています。私は小さい頃からトーストにバターを置いて、砂糖をまぶして食べるのが好きだったので、そんなイメージです。

「クロワッサン・ザマンド」は、閉店してしまった鎌倉店がオープンするときに考えたパンでした。鎌倉は朝食を外食する文化がある地域なので、朝食向きのパンを開発していました。そのときは「クロワッサン・ザマンド」は少し重たいということで、代わりに板チョコを挟んだ「クロワッサンサンド」が商品になりました。「クロワッサン・ザマンド」は気に入っていたので、「パン詰め合わせ」で復活させることができました。

──5つ目のパンは毎回限定ですが、これまでの自信作はありますか?

森本 2022年4月に入れた「桜のボストック」は、桜のあんとチョコレート味のクレームダマンドを合わせました。和のニュアンスとチョコレートを食感的にもうまく合わせることができて、風味がフワッと香る春らしい仕上がりになりました。

蔵前 ダンデライオン・チョコレート

2022年4月の限定「桜のボストック」

夏にはメキシコの家庭料理のモレポブラーノという料理をパンに応用して、惣菜パンのようにしたことがあります。モレポブラーノは、トマトとチョコレートが入っているソースを使った鶏の料理です。僕がお店で料理を担当したところ、スタッフがそのソースとコーンを合わせて夏らしいパンにアレンジしてくれました。

餅は餅屋といいますし、パン単体でいうとパン屋さんが作るものには叶わないかもしれません。でも僕たちは「ダンデライオン・チョコレート」としてチョコレートを楽しんでもらうために、もちろんおいしいと思ってもらえるようにパンを作っています。

サンフランシスコの「ダンデライオン・チョコレート」も「こんな組み合わせもいいよね」と楽しんで商品を作る企業文化があるんです。「ダンデライオン・チョコレート・ジャパン」でもそのカルチャーを受け継いで、ニブシュガーやモレポブラーノのように、パンも少し変わった組み合わせを考えています。そういう遊び心もパンを通して伝わるといいなと思います。

畑によってもカカオの味が変わるから、加えるのは砂糖だけ。特徴を際立たせるチョコとお菓子づくり

蔵前 ダンデライオン・チョコレート

カカオ栽培は赤道から南北20度の地域で行われています。

──改めて「ダンデライオン・チョコレート」のチョコレートは、どんな特徴があるんですか?

森本 「ダンデライオン・チョコレート」は、シングルオリジン、つまりカカオをブレンドしていません。「ダンデライオン・ジャパン」がグアテマラ、エクアドル、インド、マダガスカルなど常時7〜8カ国のカカオからチョコレートを作っています。同じ国でできたカカオでも、栽培する畑が違うだけで全然違いますよ。

チョコレートを作るには、カカオが70%、残りの30%はきび砂糖だけを使っています。材料をたった2つだけにすることで、そのカカオ豆が持っているポテンシャルがむちゃくちゃ際立つんです。

蔵前 ダンデライオン・チョコレート

カカオ豆の入った麻袋が積まれるファクトリー&カフェ蔵前。カカオ豆を選別するところからチョコレートづくりが始まります。

──2022年2月のパンもドミニカ共和国産のカカオが使用されているとありました。別の国になるときもあるんですか?

森本 もちろんあります。他のオリジンのチョコレートが使えるときは率先して使いますし、逆にいつものチョコレートが使えないということもありますから。僕たちはそんなチョコレートありきでメニューを開発しているので、パンのレシピもそのオリジン(産地)に合うバランスになるようにしています。

パンではありませんが、わかりやすい例がフランスのお菓子、カヌレです。三重県の伊勢外宮店ではラム酒の代わりに日本酒を合わせたカヌレを作っています。「タンザニア産のチョコレートは日本酒みたいな味がする!」という発見から始まりました。そこで三重県内の日本酒から合うものを探し出して作ったカヌレです。別の国が産地のチョコレートで作るときは、そのチョコレートにあった日本酒を探しました。

蔵前 ダンデライオン・チョコレート

蔵前のファクトリー&カフェ

蔵前 ダンデライオン・チョコレート

カカオの原産国が異なるチョコレートバーが並びます。

カカオ豆も本当にさまざまで、栽培する生産者によって品質も加工目的も違います。「ダンデライオン・チョコレート」では、アメリカにいる買い付け部隊が、カカオ豆をフェアトレードではなく、生産者から直接買うダイレクトトレードで仕入れています。これは生産者に対して、いいカカオには相応な対価を払うという対等な関係作りなんです。そうすると生産者は健全な経営を続けられます。つまり、サスティナブルなんです。

「ダンデライオン・チョコレート」は、「本当にすごいのは生産者さんだ」という考えでチョコレートを作っています。その中で僕たちペストリーは、チョコレートメーカーが作るチョコレートをどうやって口に入れてもらうかという手段の担当です。

パンを入口として「ダンデライオン・チョコレート」のことを知ってもらえたら、次は産地ごとのシングルオリジンのチョコレートバーを試してもらいたいと思っています。産地によってこんな違いがあるんだということに目を向けてもらうことが生産者さんへのリスペクトにつながるんですよ。

蔵前 ダンデライオン・チョコレート

ペストリーを担当するシェフの辻舞さんと森本康志さん(森本さんはご本人の希望により後ろ姿です!)


インタビューのあと、シングルオリジンのチョコレートをいくつか試食させてもらいましたが、不思議なほど味の違いがありました。カカオという農産物を作る人をリスペクトしながら、チョコレートやパン・お菓子を作る「ダンデライオン・チョコレート」。まずは入り口として「パン詰め合わせ」を注文してみてはいかがでしょうか?

■ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前

住所
東京都台東区蔵前4-14-6
電話番号
03-5833-7270
営業時間
11:00〜18:00
ブランドサイト
https://dandelionchocolate.jp

※店舗の営業時間は変更になることがあります。

WRITER

野崎 さおり

野崎 さおり

ライター。2017年パンシェルジュ検定2級合格。カンパーニュなどのハード系とクロワッサンが好き。旅の目的にはパン屋さん巡りとローカルフードの実食を必ず入れ、旅が「パンの仕入れ」になっていると揶揄されることもしばしば。早起きが苦手なのがパン好きとしての最大の弱点。

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