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焼き立てを冷凍するからおいしい「Pan&」の冷凍パン。自由度が高い定期便も
開発物語

焼き立てを冷凍するからおいしい「Pan&」の冷凍パン。自由度が高い定期便も

野崎 さおり
野崎 さおり

「Pan&(パンド)」は焼き立てのおいしさを自宅で気軽に食べたいという願いを叶える冷凍パンのブランドです。おいしさの秘密と便利なサブスクリプションサービスについて、運営する「スタイルブレッド」のオンラインチームで商品開発を担当する藤本翠さんとPRチームの柚木彩花さんに伺いました。

焼き立てを-45℃で急速冷凍して水分を閉じ込め、澱粉の劣化を防ぐ「Pan&」のパン

──「Pan&」のパンは、トースターから出すとクラストはパリッとしていて、クラムはほどよくしっとりしていますね。すごい秘密があるんですか?

Pan&

柚木さん パンのおいしさが損なわれるのを防ぐために、窯から出した焼き立てを-45℃で急速冷凍していることに尽きます。パンの味が落ちてしまうのには、水分が抜けることと澱粉が劣化するという2つの理由があります。パン屋さんに並ぶパンも、店頭に置かれた瞬間からどんどん水分が抜けてしまって、目には見えないけれど中の澱粉も変化しています。家に持ち帰るころには、もう焼き立てとは、ちょっと言えませんよね。

Pan&

焼き立てで粗熱が取れただけの熱い状態で急速冷凍に。

「Pan&」のパンは-45℃で急速冷凍することで、水分が抜けず、澱粉の劣化も抑えることができます。一般的な冷凍庫は-20℃から-18℃でゆっくり凍る緩慢冷凍なので、その間にもパンが変化してしまいます。

パッケージの裏面通りにトースターで焼いてからパンを手で割ると、蒸気が目に見えると思います。ぜひ試してみてください。

町のパン屋さんから「高品質な冷凍パン」をホテルやレストラン、そして日常へ

──「Pan&」の冷凍パン誕生の背景を教えてください。

「Pan&」の生まれ故郷、群馬県は小麦栽培がさかんです。

柚木さん 「スタイルブレッド」は2006年に設立した会社で、個人向けの「Pan&」は2018年にスタートしました。先に始めたのはホテル、結婚式場、レストランなど非日常のシーンで食べられるパンの事業です。そのころから日常のシーンで食べられるパンも販売したいと考えていて、12年目で実現しました。

ルーツは、群馬県桐生市で大正時代から続いていた町のパン屋さんです。現在の社長は4代目のパン職人でしたが、アメリカでおいしいと思ったパンが実は冷凍パンだったことに感動。5年かけて冷凍パンを開発しました。日本の冷凍パンでは先駆けだと思っています。

pan& 群馬 桐生

桐生市にあるラボで開発した「桐生酵母」を使ってパンを焼いています。

現在も桐生に本社や製造拠点があります。群馬は知られざる小麦の産地なので、地元産の小麦を使ったり、オリジナルの酵母を桐生酵母と名付けたりしています。

──「Pan&」というブランド名にはどんな意味があるのでしょうか?

藤本さん パンは単体で食べるよりも、料理やコーヒーと合わせたり、ときには音楽を聞きながら食べたりしますよね。暮らしのさまざまなシーンでいろんなものと一緒に楽しんでほしいという思いが込められています。

Pan&

料理と一緒に食べてちょうどいい大きさも魅力。

柚木さん 販売しているのは食事パンがメインです。社長がフレンチのシェフから「料理に合わせるパンを焼いてくれないか」と頼まれたことが発端になっています。ハンバーグやシチューなど料理と一緒に食べやすいようにと、ミニサイズでシンプルなパンが揃いました。現在では、特にオンライン販売のパンの種類が増えて、惣菜パンや甘いパンなどを含めて60種類近くあります。

実は結構、手間も時間もかかってます!

──60種類近くも種類があるんですね。新商品の開発はどのようにしていますか?

Pan& 枝豆フォカッチャ

「国産枝豆とほんのりチーズのフォカッチャ」。

藤本さん 年間でおおよそ5、6 種類の新商品を発売します。ベーカリーで親しまれているパンをPan&スタイルにアレンジしたり、お客様のご意見を参考にしたりすることも。また、季節性も意識しています。

例えば2023年夏の新商品「国産枝豆とほんのりチーズのフォカッチャ」は、旬の枝豆に塩味をきかせ、食欲の落ちる夏にも食べやすいパンとして企画しました。

新商品を考えるにあたって、商品企画の私と、群馬の桐生にいる開発チームと製造担当者とで定期的にオンラインミーティングをしています。パンに使用する主原料やイメージ、ターゲットを共有し、開発・製造の観点から、課題など意見を出し合います。

pan& 群馬 桐生

「メルティ塩バターパン」。

そのプロセスを経て、開発初期と大きく違う形に着地したパンの1つが「メルティ塩バターパン」です。バターがじゅわっと染み出るよう手作業でたっぷりとバターを巻き込むのですが、当初考えていた形では量産に向かないことが判明。何度も試作が繰り返された結果、現在の丸みがある形に仕上がりました。製造プロセスに無理が無いこと、これは商品化の上で必要不可欠な判断基準になります。

pan&

製造の現場では、職人さんの手作業も多いのだとか。

柚木さん 実は、製造にめちゃくちゃ手間と時間がかかっています。生地は低温長時間熟成をしていますし、成形も人の手で行うものが多いです。

──想像していたよりも人の手がかかっているんですね。製造の都合でパンが決まることもあるとは驚きました。

pan& 群馬 桐生

「シュガーバター・ラッフル」。

藤本さん 「シュガーバター・ラッフル」も製造上の理由から方向転換した商品のひとつです。元々は「バターフレーキー」という折り込み生地の層が特徴的なパンを想定していました。しかし試作を進めていくうち、焼き上がりの形状にばらつきが出てしまう問題が発生。安定した美しい形に仕上がるよう開発チームが試行錯誤し、独創的な曲線が生まれました。見た目の華やかさを表現したくて、「波打つ」「ひだ飾り」という意味を持つ「ラッフル」と名付けました。

どれでも、いくつでも「選べる定期便」

──「Pan&」のオンラインサービスには「選べる定期便」という特徴的なサービスがあると聞きました。何を選べるんですか?

pan& 群馬 桐生

「はじめてPan&セット」は7種類24個入。

柚木さん 定期便というと、同じものが定期的に繰り返し届くサービスがほとんどだと思います。「Pan&」の場合は、内容は毎回、お好きなものをお好きなだけ選ぶことも可能です。好きなパンをどれでも、いくつでも選べるので、代金も変わります。それから届くサイクルも選べます。

pan& 群馬 桐生

ほとんどの商品は2つずつ袋に入っています。

ただ、キャンペーンなどのお得なセットは、追加は可能ですが変更はできません。10月に「はじめてPan&セット」として新しいセットが登場しました。パンが7種類24個入って送料無料3,000円(定期初回限定価格)というお得なセットで、その名の通り初めての方におすすめです。

──おふたりともパン好きだと思いますが、「Pan&」の好きなパンを教えてください。

柚木さんイチオシ「ハニーソイ」。

柚木さん 自宅でも「Pan&」のパンを毎日のように食べていて、他のパンを買う機会がすっかり減ってしまいました。いちばん好きなのは、ほんのりした甘さの「ハニーソイ」。毎日でも食べたいパンです。何もつけなくてもおいしいし、逆にバターなどをつけてもおいしいんです。初めての方にも「ハニーソイ」がおすすめです。

藤本さんがベスト3に入れた「至高のクロワッサン」。

藤本さん 「Pan&」の味を知ってから、私も街のパン屋さんで買う機会が減りました。特に食パンを買わなくなりましたね。好きなパンを絞り込むのは難しいですが、おいしくて思い入れもある「塩バターパン」、そしてブランドを代表する「ハニーソイ」「クロワッサン」は欠かせません。


「Pan&」愛のあふれるおふたりからパンの名前が出るたびに、食べてみたくなりました。冷凍技術の進歩のおかげで、焼きたてが保たれるPan&のパン。試してみると、朝食の風景が変わるかもしれませんよ。

■ Pan&オンライン

販売サイト
https://pand.jp/

WRITER

野崎 さおり

野崎 さおり

ライター。2017年パンシェルジュ検定2級合格。カンパーニュなどのハード系とクロワッサンが好き。旅の目的にはパン屋さん巡りとローカルフードの実食を必ず入れ、旅が「パンの仕入れ」になっていると揶揄されることもしばしば。早起きが苦手なのがパン好きとしての最大の弱点。

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