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榎 友寿さん(「パントタビスル」運営)
輝くパンシェルジュ

榎 友寿さん(「パントタビスル」運営)

辻 美穂
辻 美穂

榎 友寿さん/株式会社ミキシング プロデューサー

大手ホテル勤務後、京都・長楽館内フレンチレストランでパンのプロとして勤務後、パン業界の課題に挑みたいと「オートリーズ」を設立。パンのセレクトショップ「パントタビスル」の運営を中心に、イベント運営や店舗プロデュース・監修など、パンに関する事業を行ってきた。2020年1月23日に株式会社ミキシングの立ち上げにも携わり、その後もパンのプロデューサーとして幅広く活躍している。パンシェルジュマスターのほか、JPCAパンコーディネータやWEST Intermediate certificateの資格を持つ。

パンシェルジュを取得しようと思ったきっかけを教えてください。

ホテル勤務時にレストランサービスに興味を持ち、より専門的な仕事がしたいと格式あるフレンチレストランへ転職しました。しかし実際に入ってみると、周りはソムリエやチーズプロフェッショナル資格取得者などその道のプロばかり。料理を勉強し、ワインの資格も取りましたが、当時24歳の僕にはワインを開けることすらできませんでした。その頃に偶然見つけたのが、パンシェルジュの資格。フレンチでは珍しいパンの専門家なら、ここでも一人前として仕事ができるのではないか、そう思ったのがきっかけでした。

お皿を下げることすらできない、そんな状況を打開したいとパンシェルジュに

資格取得後は、仕事内容やパンとの向き合い方に変化がありましたか?

パンの説明や提供、毎月のコースに合うパン選びなど任されるようになりました。ただ、「この料理にはこのパン」とシェフを納得させるには、それ相当な知識が必要。テキストを読み返す、専門書を読む、自分で作るなど、さらにパンを勉強しました。また、データ収集のためパン屋巡りも開始し、1年弱で200店舗ぐらい行きました。店員さんにいろいろ質問するので最初は怪しまれましたが、「こういう資格を持っていまして」と言うと、「何それ?」と会話のきっかけに。そのうち親しくなり、他のお店まで紹介してもらえるようになりました。

料理に合うパンを出したり、目の前でカットしたり。集めたデータの中から、お客様にパン屋をご案内することもあったそう

その後は、どのような経緯で現在の事業を展開されたのでしょうか?

その後は“パン屋に詳しい人がいる”と紹介されて、百貨店のパンフェアなどに携わっていましたが、忙しくなったので、レストランの仕事を辞めて、パンの仕事1本に絞りました。その中で気づいたのが、小さな店は催事出店などは難しい現状です。どんなにいいパンを作っても、多くの人に伝えられる機会が少ないんです。そういう店を僕たちで宣伝できればと始めたのが、日替わりパン屋の「パントタビスル」です。そうして多くの店とつながるうちに、パンに対する興味がより深まりまして、その後は、パンを食べる教室や宿での朝食提供、小麦茶の製造販売なども行っています。

事業を始めてから、苦労したことはありましたか?

「パンを売るプロのチームを」と事業を始めましたが、そのためにはパン屋さんとお話ししなければなりません。しかし、店舗での製造工程などを理解していない人間とは、まともに付き合ってくれないんです。そこで、紹介してもらった店に早朝出掛けて、製造工程を見学して勉強しました。何回も通ってシェフと仲良くなってから、徐々に教えてもらった店もありましたね。今では「あいつが言うから、しゃあないな」と、出店してくれるお店もあります。(笑)どの事業もそうですが、何より人間関係が大切ですね。

教室やイベントなど、パンに関するさまざまな活動をしながら、現在も各地のパン屋を訪れている

これからの目標や展望を教えてください。

全国にパン屋は約1万店あるようですが、まだ知られていない店がたくさんありますので、まずは「パントタビスル」を、大阪以外でも展開したいですね。他にも小麦茶の販路拡大や、販売中の「台湾メロンパン」のように、各国で人気のパンを日本で広めることも考えています。手間をかけることでおいししくなるオートリーズ法のように、僕たちが「手間」の部分に関わることで全国のパン屋さんを盛り上げ、いろんな業界を巻き込みつつ、パン業界全体を盛り上げていきたいと思います。

パンの原料である小麦の味や香りを伝えたいと生まれた小麦茶。パンを食べながら飲むのはもちろん、かけて食べるのもおすすめ

最後に、パンシェルジュの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

資格取得はスタート地点。その後は、作りたい人は店で修業や学校へ、パンが好きなら販売など、パン業界に入るきっかけづくりにすればいいのではと思います。実は「パントタビスル」でもパンシェルジュが多く働いていて、知識を活かして店を盛り上げてくれています。また、いつも何気なく食べているパンが、どんな材料でどう作られているか分かれば、それだけでも日常が少し楽しくなるはず。その中で、改めてパン業界に興味を持ってもらえればうれしいですね。

メディア出演・執筆

【テレビ】 魔法のレストラン、ZIP!ほか多数出演
【ラジオ】 パラダイス京都
https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/para/archives/2020/05/
【ネット】 パンシェルジュ合格者の声
https://www.kentei-uketsuke.com/pancierge/voices/6.html

パン好き女子
http://panjyoshi.jp/note/coppe03.html

【雑誌】  婦人画報7月号

【新聞】  パンニュース(レギュラーで記事を執筆)
http://www.pannews.co.jp/

ホームページ・SNS

https://sites.google.com/view/mix-ing/

https://www.instagram.com/pantabii/?hl=ja

WRITER

辻 美穂

辻 美穂

とにかく食べること、飲むことが好きで、異業種から食の業界へ転職をとフードコーディネーターの学校へ。複数の調理現場でバイトしたあと、菓子とパンの会社で商品企画の仕事に就く。自社パンのおいしい食べ方をあれこれ試しているうちにパンの魅力にハマり、その後ライター活動を始めてからも、そして活動拠点を福岡に移した2013年以降も、仕事のついでに気になるパン屋へ立ち寄り、新たなパンとの出合いを求め続けている。最近気になるのは、自分の体重と屋根で勝手に居候するスズメたちのこと。

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