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完全感覚ベイカーさん(おうちパン研究家・パンづくり系YouTuber)
輝くパンシェルジュ

完全感覚ベイカーさん(おうちパン研究家・パンづくり系YouTuber)

辻 美穂
辻 美穂

おうちパン研究家・パンづくり系YouTuber 完全感覚ベイカーさん

子どもの頃から料理が好きで、中学生の頃からパンづくりを開始。大学で学んだ食品の発酵メカニズムや、飲食店勤務、料理教室講師の経験などを活かした、わかりやすいパンづくりの動画が評判となり、登録者数14万超えの人気“パンづくり系”YouTuberに。2021年には初の著書を出版するなど活躍の場を広げている。ロゴのモデルは、動画の最後にたびたび登場する、愛犬ノアちゃん(4歳・♀)。

パンシェルジュ検定を受験したきっかけを教えてください。

パンシェルジュ検定の存在はもともと知っていて興味があったのですが、私のYouTubeとサイトを見たパンシェルジュ検定の運営さんから、“検定を受験して、その様子を動画にしてみませんか?”と、お声がけいただいたのがきっかけでした。
パンの資格は、自分自身の「肩書」として、活動を周りから見える形で表明できると思い、二つ返事で決めました。

YouTubeを始めたのは2018年、働いていた料理教室でパンを教えることになってからです。中学生の頃からパンを作っていましたし、前職で調理の現場も経験していましたが、教えるのは初めてでした。
まずは自分の教え方が他人からどう見えているのか知りたいと動画を撮り始めましたが、“せっかく撮ったのだから公開してみようか”と、そんな軽い気持ちでスタートしたものでした。

輝く,ベイカーさん

きっかけとなったYouTube『完全感覚ベイカー:独学でパンに挑む人へ』。もともと料理を理論的に考えるのが好きで、始めた当時はパンづくりを理論的に教えてくれる動画がなかなかなかったことも公開した理由のひとつ。ちなみに「完全感覚ベイカー」の由来は、大好きな曲「完全感覚Dreamer」(ONE OK ROCK)から。

輝く,ベイカーさん

動画に映り込むスタイリッシュなキッチン。専用のスタジオではなく、普段から使っているキッチンで撮影しているのだそう。

YouTubeの動画はとても分かりやすくて、見ているだけでも楽しいですが、どういう点を意識して制作しているのでしょうか?

「成功する方法」ではなく、「失敗しない方法」を意識して伝えるようにしています。パンづくりの場合、レシピや動画を見て作っても、失敗しちゃう人も多いと思うんです。同じレシピで教えていても、パンが膨らまなかったり、いまいちな形になってしまう人がいましたから。“どうしてそうなるのだろう”と追究した結果、失敗しないポイントを知れば、誰でもパンづくりが楽しめるのではと思ったからです。

また、動画では、パン生地をアップにしたシーンをたくさん入れることも意識しています。まるで自分が作っているような気分を味わってもらえるよう、心がけています。

輝く,ベイカーさん

動画やサイトの作り方は独学で学び、現在も撮影から編集作業までこなしている。失敗なく作るために過不足ない情報量で、見た後に「ちょっとだけ賢くなった」と感じられるように編集することを心がけると、1本15~20分ぐらいの動画になるそう。

輝く,ベイカーさん

サイトで期間限定公開することがある、イラスト付きで分かりやすい「手描きレシピ」は、iPadで下書きしてから作成。イラストは、自身で描いたり、フリー素材を使うことも。

試験で学んだことでためになったことはありましたか?合格後に、仕事などで変化はありましたか?

パンシェルジュ検定のテキストは初心者、中級者、上級者と分かれているので、動画作りに役立っています。初心者向けの動画を作る時には3級テキストを参考にして、「この内容まで触れればいいのかな」とか、「ここまで踏み込むと分かりにくくなるのかな」などと、参考にしています。

以前の私は自分でパンを作るだけでしたが、合格後はパン屋さんのことも気になるようになりました。実際に行って食べてみて、「この店はどういうパンを作っているのか」とか、「なんで人気なのか」などを考えるようになりました。そして、パンを購入した店のレビューをブログ記事に書き始めるなどの活動もはじめました。

輝く,ベイカーさん

“パンシェルジュ検定の勉強は、自分自身のパン作りを考えるうえでの視野が広がりました”と完全感覚ベイカーさん。

輝く,ベイカーさん

“パンの創作活動に正解はなく、人それぞれ違う”と完全感覚ベイカーさん。いろいろな本を読み、著者それぞれのエッセンスが自分の中に入ってくることも、自分の創作活動に活かされているそう。

資格取得後に新たにチャレンジをされたことはありましたか?

レシピ本「はじめてでもコツがわかるから失敗しない パン作りが楽しくなる本」を出版したことですね。作るうえでいちばん力を入れたのは、“写真だけで作り方が分かる本”。パンのレシピ本は字が多かったり、分かりづらいものが多いなと感じていたので、字をなるべく少なくし、そのぶん写真をいっぱいにしたいと思いました。

ただ、動画と紙では情報量が全然違いますので、“本当に伝えたいことがきちんと伝わっているのか”と気になってしまって。そこで、レシピに二次元コードをつけ、スマートフォンで読み取ることで、動画を視聴できるようにしました。

輝く,上村さん

レシピに動画の二次元コードをつけたので、レシピと同じ数だけ動画も用意することに。“自ら険しい道を進んでしまった(笑)”と完全感覚ベイカーさん。

今後の目標を教えてください。

「パンは簡単に作れるんだ」ということを、広く知ってもらうことです。パンづくりは「難しい」「時間がかかる」そんなマイナスな印象を持っている人もまだまだ多いんです。
一見、素人には難しそうに見えますが、蓋を開けて見れば本当に簡単なんです。それに、自分で手間暇かけて作った焼きたてパンのおいしさは感動もの。自分で作ることでしか味わえない喜びを知ってもらいたいのがいちばんの目標です。

そのためにも、このままYouTubeの活動は続けていきますが、ほかにも目標はいっぱいありまして(笑)、自分の料理教室など、実際にパンをレクチャーする機会を設けること。動画とリンクさせた材料をセットにした、「パンづくりキット」を販売すること。これは、視聴者のみなさんから、「家の近くで材料が買えない」という声をいただくことがあるからです。そして、実現可能かどうか分かりませんが、カラオケボックスのようなイメージで、誰でも気軽に立ち寄ってパンを作れるスタジオ……「パンづくりボックス」みたいなものを作りたいという夢もあります。

輝く,ベイカーさん

料理教室でのレッスン中、発酵を待つ間に生徒たちが仲良くなっていく姿を見て、パンづくりには人をつなげる可能性があると感じたそう。「パンづくりボックス」があれば、親子や夫婦などの関係が良好になり、パンづくりがもっと広がるのではと考えている。

パンシェルジュたちや、これからパンシェルジュ資格の取得を目指す人たちにメッセージをお願いいたします。

パンシェルジュ検定では、パンに関する幅広い知識が学べます。例えば、生地の仕込み方や、使っている酵母について。これらを知ることで、職人がこだわりを持って、手間暇かけている部分まで感じ取ることができるようになり、パンを食べるのがより楽しくなると思います。

そして、資格を取ることで“人のつながり”が広がることも、大きな価値だと思います。以前、とあるベーカリーとパンシェルジュのコラボパン開発の様子を拝見したことがありますが、「パンに熱意を持っている人たちがこんなにいるんだ」と驚きました。同じ熱量を持った人たちと意見を交わせる機会なんて、他ではなかなかないですからね。共通の趣味を持った人たちと知り合えることも大きいと思います。

検定取得後に、好きなパンを仕事につなげたいと思ったら、SNSなどで発信して、自分の活動を知ってもらうこともひとつの方法です。私自身、自分のパンづくりをなんとなくYouTubeで公開したことが始まりでしたので。
好きで作って終わりじゃなくて、進んで発信していけば、活動を広げる上でとっても有利になってくると思います。もし、動画や記事を作るのが面倒な人は、写真1枚でできるInstagramから始めてみてください。

輝く,ベイカーさん

パンづくりのコツは、「パンの気持ちを考えて作る」ということ。生きものを扱うように愛情込めて作れば、パンづくりそのものを楽しむことができ、仕上がった時の満足感も違う。“自分の生地を、とことん可愛がってほしいです”と完全感覚ベイカーさん。

取得資格

・調理師免許
・食生活アドバイザー
・フードコーティネーター
パンシェルジュ

執筆書籍

はじめてでもコツがわかるから失敗しない パン作りが楽しくなる本(KADOKAWA)

Web・SNS等

完全感覚ベイカー:独学でパンに挑む人へ

完全感覚ベイカー|自宅でパンを作る人のためのサイト

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パン好き必携の資格「パンシェルジュ」とは

パンシェルジュ検定公式サイト

WRITER

辻 美穂

辻 美穂

とにかく食べること、飲むことが好きで、異業種から食の業界へ転職をとフードコーディネーターの学校へ。複数の調理現場でバイトしたあと、菓子とパンの会社で商品企画の仕事に就く。自社パンのおいしい食べ方をあれこれ試しているうちにパンの魅力にハマり、その後ライター活動を始めてからも、そして活動拠点を福岡に移した2013年以降も、仕事のついでに気になるパン屋へ立ち寄り、新たなパンとの出合いを求め続けている。最近気になるのは、自分の体重と屋根で勝手に居候するスズメたちのこと。

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