シュトーレンだけじゃない!クリスマスの伝統的なパンいろいろ
クリスマスケーキやチキンに負けじと、日本のクリスマスにもシュトーレンが定着しつつある今日このごろ。でもクリスマスのパンといえば、シュトーレンだけじゃありません。
今回は、ヨーロッパ諸国で伝統的なクリスマスのパンや菓子をご紹介。シュトーレンに続く、ネクストブレイク候補を要チェックです。
「ベラベッカ」(フランス)
キルシュに漬けた洋梨やドライフルーツ、ナッツ類をパン生地でつないだもの。シュトーレンのように、クリスマス時期に少しずつスライスして味わう、スパイスの効いた、フランスのアルザス地方のお菓子です。「ベラベッカ」は、“洋なしのパン”という意味だそうです。
DEAN&DELUCAの「ベラベッカ」は、クローブやシナモンなど5種類のスパイスを配合した生地に、キルシュ漬けした洋梨など5種のドライフルーツがたっぷり。芳醇で贅沢な、ひと切れでも満足感のある味わいです。
「パンデピス」(フランス、ベルギーなど)
パンデピスとは、「スパイスのパン」という意味。その名の通り、シナモンやナツメグ、アニスなど、たっぷり使われたスパイスの香りが印象的。
フランス北部やベルギーで聖二コラウスの日(12月6日)に食べられている、クリスマス菓子です。
フランス北部に伝わる伝統的なレシピを元にした、DEAN&DELUCAの「パンデピス」。パンデピスには、パウンドケーキのようなタイプと、クッキーのようなタイプがあるそうですが、DEAN&DELUCAのものは前者です。
ライ麦粉入りの粉にたっぷり混ぜた、アカシアのはちみつやシナモン、ジンジャーなどの香りが広がります。
「パネトーネ」(イタリア)
ドーム型をしたクリスマスの発酵菓子。ドライフルーツがたっぷり練り込まれており、パネトーネ種を使用し長時間発酵させて作られています。作るのに手間がかかるパンですが、雑菌が繁殖しにくく、長期保存できるのが特徴です。
名前の由来は、トニーという職人が作ったパン(パーネ・デ・トニー)だからなど諸説ありますが、ミラノで発祥し、600年以上の歴史があるのだとか。
DONQの「パネトーネ」は、ふんわり食感と豊かな風味が特徴。厳選したドライフルーツもたっぷり、リエビト・マードレという酵母種を使い、伝統的な中種法で作られています。
「パンドーロ」(イタリア)
天然酵母で発酵させて作る星形の発酵菓子。パンドーロの由来は、卵をたっぷり使った生地の色から。“黄金のパン”という意味です。パネトーネとともに、イタリアではクリスマスの定番菓子となっています。
卵黄とフレッシュバターを使ったDONQの「パンドーロ」は、スーッと溶けていくような、やわらかな口あたりが特徴。粉糖をかけて味わうのもおすすめです。
「グリティベンツ(ヴェックマン・マナラ)」(スイスなど)
「グリティベンツ」は人の形をした、聖ニコラウスの日(12月6日)に食べられるスイスの伝統的なクリスマスパン。がに股なのが特徴で、足から食べると、幸せになれると伝えられています。ヨーロッパ諸国には、ほかにもドイツの「ヴェックマン」やフランスの「マナラ」など人型のパンがあります。どちらもサンタクロースのモデルである、聖ニコラウスの伝説から誕生したそうです。
「ルッセカット」(スウェーデン)
クリスマスシーズンになると、スウェーデンの街のあちこちで販売されたり、家庭でも作られるという「ルッセカット」。バターとサフランを練り込んだ甘いパンで、ネコのしっぽのようなくるんとした形に、レーズンをあしらったものがスタンダードなスタイルです。12月13日に行われる聖ルチア祭にも欠かせない菓子パンなのだとか。
「コキーユ・デュ・ノール」(フランス、ベルギーなど)
聖二コラウスの日(12月6日)からクリスマスの間に食べられるブリオッシュ生地のパン。生まれたばかりのキリストを産着で包んだような形から、“イエスのパン”ともいわれています。聖二コラウスが貧しい娘をひそかに救ったという、サンタクロースの起源となるような伝説から生まれたそう。
「ヴァーノチュカ」(チェコ)
チェコの伝統的なクリスマス料理として登場するヴァーノチュカ。レーズンがたっぷり練り込まれた生地を9本の棒に分け、編み込むようにして作られています。クリスマス当日の朝や、翌朝に食べられるのがチェコでは一般的なのだそう。大きなヴァーノチュカを、家族で取り分けてわいわい食べるのもまた楽しそうですね。
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クリスマスの伝統パン、みなさんはいくつご存じでしたか?日本で定番になっているものもあれば、なかなか販売されていないものもありますが、街で見かけたらぜひ購入して、クリスマスシーズンならではのパンを味わってみてください。
<参考文献>
パンシェルジュ検定3級公式テキスト(実業之日本社)
スイーツ用語辞典(誠文堂新光社)
お菓子の基本大図鑑(講談社)
レイチェル・クーのスウェーデンのキッチン(世界文化社)
<参考サイト>
エスビー食品株式会社公式サイト
Foodie
クックビズ総研
カメリヤマガジン
じゃぱん
Travel Note