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服部恭子さん(「HATTORI BAGEL」店主)
パンやの夜明け

服部恭子さん(「HATTORI BAGEL」店主)

ありま しょうこ
ありま しょうこ

HATTORI BAGEL(岡山県岡山市北区奉還町)

2015年7月、当時岡山ではめずらしかった自家製ベーグルの専門店としてオープンを果たした「HATTORI BAGEL」。ベーグルファンのみならず、幅広いお客さんから愛され絶大な人気を誇る名店です。2019年10月の移転リニューアルを機にカフェを新設し、一日じゅう訪れる人の絶えないお店にパワーアップしました。ベーグルサンドを含め毎日約60種類もの商品をそろえ、スタッフみんなが明るい笑顔で迎えてくれる。そんなお店を切り盛りするのは、オーナーシェフの服部恭子さん。穏やかなしゃべり方とふんわりした雰囲気がとても印象的で、作り出すベーグルの味も彼女に似て自然とこちらの体に入っていくような優しさにあふれています。季節に合わせた、ちょっと意外な素材づかいの新作もお楽しみに。

〒700-0026 岡山県岡山市北区奉還町1-4-12-1
※JR 岡山駅より徒歩5分
OPEN 11:30-17:00 〈売り切れ次第閉店〉
定休日:日・月曜日

※店舗や商品に関する情報は直接お店にお問い合わせください。

人気商品

・プレーンベーグル 150円
・塩バター 180円
・いちじくとクリームチーズ 220円
・Wチョコ 220円
・カシューナッツとホワイトチョコ 220円

服部恭子さん

柔らかなほほ笑みをたたえた店主の服部恭子さん。岡山県出身で、広島の大学を卒業後システム系の会社に就職。SEとして東京でシステム開発の仕事に就いていたという、一見パンとは真逆に見える異色の経歴の持ち主。退職後、岡山市内のパン屋で修業し、念願のベーグル専門店として独立を果たす。

お店のこだわりやコンセプトについて教えてください。

ベーグルに「硬くて食べにくいパン」というイメージを持っている方も多いと思います。その苦手意識をくつがえし、「もっちりしていておいしいパン」と思ってほしい。自分が大好きなベーグルのファンになってもらえるようにと、食感にこだわった生地づくりを目指しています。ひと口に「生地」といっても、ベースのものからよりもっちり感を出したもの、ふんわりさのなかにほどよくもっちり感を加えたもの、ベーグルらしいかみごたえのある生地など、それぞれに製法を変えて作っているんですよ。

看板商品について教えてください。

まずイチオシなのが、人気ナンバーワンの「塩バターベーグル」180円。近年のブームでめきめきと知名度を上げてきた塩パンを、「ベーグルバージョンにしたらどうなるだろうか」と興味本位で作ってみたのがきっかけのひと品です。シンプルなプレーンベーグルに香り高い国産有塩バターを巻き込み、表面にイタリアの岩塩をふって焼き上げるため、ひと口かみ締めるほどにバターとガツンとくる塩の深い滋味があふれてきますよ。ハニークリームチーズをサンドすると、甘じょっぱいクリーミーさが味わえておすすめです。

次に、私のお気に入り「季節野菜とベーコンのスパイシーカレーベーグル」241円を紹介します。「ひとつのベーグルで存分に満足感と満腹感を味わえるように」と考え出したボリュームメニュー。ごろっとしたベーコンのオイルが生地と季節で変わる野菜に染み込み、爆発するうまみが心地よく口の中ではじけるよう。取材していただいた日には、ナスとカボチャを取り入れ仕上げてみました。ベーグル生地にはオリジナルで配合したスパイスを練り込み、スパイシーなカレー味に仕上げています。強めにトーストし直すと表面のチーズがパリッとなり、食感が加わってよりおいしく楽しめるので試してみてください。

〈HATTORI BAGELのベーグルがお店に並ぶまで〉
・5時ごろ ミキシング・分割丸め・発酵といった仕込み作業
・7時ごろ 成形を開始
・8時半ごろ サンドづくりスタート
・9時ごろ ケトリングを経て焼成に入る
・11時ごろ 出来上がった商品を陳列し、開店準備へ
・11時半    お店がオープン!

パン作りで心がけていることを教えてください。

自分がパン屋さんに行ったとき、やっぱりバラエティ豊かにいっぱい並んだパンのなかから選び放題っていう楽しさが重要だと思うんですね。店に来られたお客さまにも、毎回来るたびに新鮮で楽しいと思っていただきたいので、つねにアイデアを出すようにしています。色んな味を楽しんでいただけるように多様な種類をご用意していますが、どれも素材には余分なものを使わず「ベーグルらしさ」を見失わないように心がけています。ただ、生地は同じように見えてもその日の気温や湿度、粉の成分によって毎日コンディションが変わるため、理想のベーグルに仕上げる難しさを実感しています。お客さまによろこんでいただけるものが作れているのか、今でも自問自答する日々ですね。そのぶん、「ベーグルっておいしいんだね!」との言葉をいただいたときには、ひときわうれしさと楽しさを感じます。

新商品はどうやってアイデアを出して開発しているのですか?

毎日生活するなかで、いろいろなジャンルの食べ物や飲み物、スウィーツなどからもヒントを得て生かしています。食材の組み合わせを考えているうちに新メニューが生まれることも。いずれにせよ、自分の内から湧き出てくる「こんなベーグル食べてみたい」という感情が基本になっています。好奇心をもってアンテナを張り続けることが大切なのかなと思いますね。

服部さんがパン屋さんを志したきっかけはなんでしたか?

東京に住んでいたとき、休みの日にお気に入りのパン屋さんで大好きなパンを買うことが楽しみだったんです。そのなかでもベーグルが特に好きで、毎日頑張っている自分へのごほうびとして毎週のように食べていました。岡山に帰省した際に、地元にはベーグル屋さんがほとんどないのが残念で、自分で焼くようになりました。そうしたら、ベーグル焼きの楽しさにのめり込んでしまって。もっと勉強したくて、思いきって会社を辞めてパン修行の道に飛び込む決意をしました。

――好きな・憧れのパン屋さんとその理由を教えてください。

有名ですが、『メゾンカイザー』さんのパンと出合ったのは自分の人生にとって大きなきっかけでしたね。東京で働いていたころに足しげく通ったことを今でも覚えています。使う食材、味、見た目すべてが当時の自分には斬新で、強い衝撃を受けました。あのパンに、職人としてもとても影響を受けたと思います。その当時は、まったく有名店とは知らなかったんですけどね(笑)。

――思い描く理想のパン、そしてパン屋さんとは?

「自分が行きたくなるパン屋さん」をつねにイメージしていますね。お店に来てくれたお客さんに、いつも新しいワクワクを与えられるようなパン屋さんが理想です。たとえば毎日訪れても飽きない楽しさ、毎日食べても飽きないおいしさを提供できたら素敵だと思っています。そんなベーグルショップを目指して、これからも精進していきたいですね。

パンシェルジュやパン好きの読者に向けてメッセージをお願いします。

ベーグル専門店なので、ベーグル好きな方にはぜひ召し上がっていただきたいですね。日々研究を重ね、新たなメニュー開発に取り組んでいますので、ベーグルならではの食感のおいしさを色んな味で感じてもらえたらうれしいです。お店のInstagramでは、不定期でベーグル発送も受付けておりますので、興味を持っていただけた方はぜひご覧くださいませ。

WRITER

ありま しょうこ

ありま しょうこ

岡山の地域情報誌『タウン情報おかやま』『オセラ』随一のパン好きスタッフで、自称「ぱんライター」としても活動中。

パンシェルジュ3・2・1級のほか、パンプロフェッショナル・パンスペシャリスト・手作りパンソムリエ・ベーカリーパティシエ・カレーパンタジスタの資格も取得。

このたび、ずっと夢だった『パンの本』の創刊編集長に就任。

『WEBタウン情報おかやま』では、岡山のパン屋さんを紹介する企画『パンのとりこ』を連載。

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