京都で人気のパンが揃うセレクトショップ 四条烏丸「KYOTO 1er BAKERY MARKET」
京都・四条烏丸エリアにある「KYOTO 1er BAKERY MARKET(キョウト プルミエ ベーカリー マーケット)」は、京都の人気ベーカリーのパンがずらりと並ぶ、いわば“パンのセレクトショップ”です。
お店を始めた理由や、“パンのまち・京都”でパンの仕事をすることとは?運営会社である有限会社エムジーフーズのエリアマネージャー・茨木満さんにお話を伺いました。
普段行かない地域のパン屋さんと出会うきっかけに
──KYOTO 1er BAKERY MAKETを始めたきっかけを教えてください。
京都は他府県に比べ、パン屋さんが多い街です。いっぽうで、地域密着のお店が多く、ご自身の生活圏外のお店だと行きづらいこともありますよね。自分が普段行かない地域のパン屋さんと出会えるきっかけになれば、という想いからスタートしました。とてもおいしいお店でも、「地理的に巡り合えなかった」ということが、このお店で解消できればと思ったんです。
「KYOTO 1er BAKERY MAKET(キョウト プルミエ ベーカリー マーケット)」という店名は、ストレートに「京都のパン市場」という意味。「セレクトショップ」と同義ととらえていただいていいかと思います。さらに、京都で人気のお店・注目のお店をひとつのスペースに集めたい、というところから「1er(※)」とつけています。
※フランス語で「一番目の」、「最高の」などの意。
──何店舗のパンを販売されているのでしょうか。
2022年3月現在、お取引させていただいているのは16店舗です。曜日により、取り扱う店舗が異なります。毎朝、各パン屋さんにパンを受け取りに行き、午前中に2回店頭へ並べます。
販売日は、各パン屋さんの定休日と製造能力に合わせて決めています。そのため「営業日は全て販売できます」というお店があれば、「週何日だけ」というお店も。こちらも、並べられるスペースが限られているので、ひとつの曜日に16店全てのパンを並べることができません。幸い、現在は定休日が分散しているので、各曜日バランスよくパンを販売することが出来ています。
店内にはイートインスペースを設けており、購入したパンをお召し上がりいただくことも可能です。当店ではオリジナルのマリトッツォを製造・販売しており、イートインで人気です。2021年7月にCOCON KARASUMA内にオープンした2号店「KYOTO 1er BAKERY with cuisine(キョウトプルミエベーカリーウィズキュイジーヌ)」で販売しているマリトッツォも、こちらの店内で調理しているんですよ。
──販売するパン屋さんを選ぶ基準について教えてください。
お客さんから教えていただいたお店であることがいちばん多いですね。
パンは食べ物ですから、個人の嗜好もあります。ただ「このパン屋さんがすごくおいしかったよ」と、同じ店名を複数人から聞くこともあります。そういう時はそのお店へ、すぐにお客さんとして伺ってみるんです。そして、今お取引のあるパン屋さんの構成と頭の中でバランスを取りながら、「このお店にお声かけさせてもらおうかな」というふうに選んでいます。
──私たちがお話したお店のパンが、次に置かれているという可能性も?
そうです(笑)。広く知られていなくても、その地域で人気のお店はたくさんあると思いますし、今注目の勢いあるお店のパンをこちらで扱うことが出来たら楽しい。特に注目のお店は、有名店から独立されたばかりの新しいお店が多いです。そうしたお店のファンづくりの橋掛けをしたいという気持ちで販売しています。
パン屋さんの個性を活かした商品セレクト
──販売するパンの種類は、どのように決められているのですか?
お店から“推したい商品”と、“自信のある商品”を教えてもらい、選定します。複数店舗のパンがひとつの空間に並ぶため、お客さんから「このパン屋さんはどんなお店ですか?」と聞かれることが多いです。そのときに、推したいパンや自信があるパンが並んでいるほうが、お店の個性が生きて、お客さんに魅力が伝わりやすいんです。
また、商品ごとにパンの焼き上がり時間が決まっていますので、受け取りに行く時間によっては、受け取れないパンもあります。そのため、推したいパンは焼き上がり時間やお客さんの反応を見ながら販売し、構成を固めていきます。
──「KYOTO 1er BAKERY MAKET」で人気の商品を教えてください。
当店の人気No.1商品は、「Bread Tsukune(ブレッドツクネ)」の「ティーブラン」。すごくおいしいと評判です。また、「CHABON(チャボン)」の「カヌレドボルドー」も人気があります。「CHABON」は、「GRANDIR(グランディール)」で働かれていた方が開業されたお店です。
「ぱんだよりノドカ」と「CHABON」は、酵母に「ホシノ天然酵母」が使われています。どちらも柔らかいパンが多いのですが、「ぱんだよりノドカ」はサクッとした食感に、「CHABON」はとてもフワッとした食感に仕上げられています。
「noin194」は、2021年8月にオープンされた比較的新しいお店です。当店で販売をはじめて1ヵ月足らずですが、ファンがどんどん増えています。自家製酵母をたくさん持っていらっしゃって、一つひとつ大事にパンづくりをされているお店なんですよ。「シフォンケーキ 抹茶」は香りがとてもよく、女性を中心にリピーターが多い商品です。
「それぞれのお店のファンを増やすために」
──パンのセレクトショップならではの楽しいところ、大変なところを教えてください。
一軒のパン屋さんとは違い、扱う種類が多いところと、日によって店舗が変わるところは大変ですね。お客さんもパン好きな方が多く、いただいたご質問も理解してお答えできないといけない。最初は一般のパン屋さんよりも覚える量や、理解度の高さを求められる部分が多いと思います。
その地域で人気のお店でも、地域外に住む方からすると最初は「どんなパン屋さんなの?」と不安をお持ちです。ただ置いているだけでは、売れない商品も当然出てきます。せっかくいい商品が届いていても、きちんとアプローチしていかないとお客さんに手に取っていただけない。召し上がっていただく機会が作れないというのは、こちらとしてとても残念なこと。そこはいちばん気を付けているところです。
スタッフへは、日頃から「それぞれのお店のファンを増やすために、いろんな説明をしてほしい」という話をしています。「普段行かない地域だけれど、KYOTO 1er BAKERY MAKETで知ったから、実店舗へ行ってみよう」という方が増えたら、僕らからしたらありがたいですし、すごく嬉しいですね。
どんな商品か分かりにくいものは、こちらでPOPを作成したり、食べ方の提案をしたり。少しサジェストすると、すごく喜んでいただけるんですよ。
──パンの消費量が多い京都で、パンの仕事をするというのはどのようなお気持ちなのでしょうか。
実感するのは、「京都は本当にパン屋さんが多くて、パン好きな人が多い」ということです。個人店や、スーパーでパンをお買い求めになられる方も多いですね。
現在当店でお取引のあるお店でも、阪急桂駅西口方面にある「OAK FOOD(オークフード)」さんは、長くお店をされているので、僕らよりもお客さんの方がよくご存知だったりします。また、うちのスタッフに「PAIN DE LAIT(パンドレ)」さんの近くに住んでいて、「PAIN DE LAITのパンで育ちました!」と言っている者もいましたね。
──最後に、パンシェルジュさんに向けてメッセージをお願いします。
パンシェルジュの資格を取られる方は、一般の方以上にパンに興味をお持ちの方だと思います。パンに関する仕事をされる際には、ぜひその知識を存分に発揮していただきたい。当店はセレクトショップですので、頭を使う部分はお任せいただければと思います。お越しいただいた際には、純粋に“食べたい”という気持ちで、エモーショナルにパン選びを楽しんでみてください。
■KYOTO 1er BAKERY MARKET
- 住所
- 〒604-8155 京都市中京区錦小路通烏丸西入ル占出山町311 アニマート錦
- 電話番号
- 075-251-0233
- 営業時間
- 10:00 - 18:30
- 定休日
- なし
- ホームページ
- http://mgfoods.co.jp/bakery/
■KYOTO 1er BAKERY with cuisine
- 住所
- 〒600-8411 京都市下京区水銀屋町620 COCON KARASUMA1階
- 電話番号
- 075-708-3972
- 営業時間
- 11:00 - 20:30
- 定休日
- なし